北沢志保
我が家には暑さの為に本来の姿を捨てた全くもって許しがたい駄神というべきお稲荷さまがいます。
矢吹可奈
志保ちゃ〜ん、冷たくて気持ちい〜よ〜。
北沢志保
はあ、本当に人間の姿になるとは……
矢吹可奈
だってあの姿じゃプールに入れないし…
北沢志保
…まあ、たまにはいいか。
矢吹可奈
志保ちゃん、今度はあっちのプールに行こう。
北沢志保
はしゃぎ過ぎよ。落ち着きなさい。
矢吹可奈
えへへ、だって楽しいんだもーん。
北沢志保
…まったく…
矢吹可奈
あれ、何ですかあなた達?
北沢志保
お稲荷さま?
矢吹可奈
えーと、いえ、一人じゃなくて友達と…
北沢志保
何ですか、あなた達?私の知り合いに用ですか。
北沢志保
…はあ、ナンパですか。すみませんがそういうの間に合っているので。
北沢志保
…私も一緒に?
北沢志保
結構です。さ、行きましょう。
矢吹可奈
うん。
北沢志保
…ならその子だけでも?
北沢志保
馬鹿な事言わないで下さい。この子は私のものです!
北沢志保
あんまりしつこいと大声出して人を呼びますよ。
北沢志保
……
北沢志保
ふぅ、ようやく行ったか。
矢吹可奈
志保ちゃん、ありがとう。
北沢志保
お稲荷さまもぼーとしてるからあんなのに声を掛けられるのよ。
矢吹可奈
…ごめんなさい…
北沢志保
しかし、お稲荷さまをナンパするなんて悪趣味ね。
矢吹可奈
志保ちゃん、ひどい‼︎
北沢志保
しかも私はお稲荷さまのついでだなんて…
矢吹可奈
志保ちゃんが怒ってるの、そこ?
北沢志保
まあ、ナンパなんて初めてだから貴重な体験と思えばいいか。
矢吹可奈
だよね〜♪
北沢志保
あら、お稲荷さま機嫌がいいわね。
矢吹可奈
だって、さっき志保ちゃん言ったじゃん。
矢吹可奈
「この子は私のものです!」
矢吹可奈
ってね。ようやく志保ちゃんの本音が聞けた気がするよ。
矢吹可奈
あれは愛の告白と受け取っていいのかな〜。
北沢志保
何言ってるのよ。
北沢志保
お稲荷さまが私のものなのは当たり前じゃない。
北沢志保
今は人間の姿だけどその毛皮と肉は私のものよ。
北沢志保
骨は……骨格標本として売れるかしら。
矢吹可奈
うわーん、志保ちゃんの馬鹿ーー。
(台詞数: 41)