北沢志保
――嘘つき。
北沢志保
誰かが私をそう呼んだ。
北沢志保
――貴女のことよ。
北沢志保
私の声で。私の姿で。
北沢志保
――夢を見たいの?
北沢志保
貴女は誘う。私の心を。
北沢志保
いらないわ。それに嘘は――
北沢志保
貴女の方、でしょ。
北沢志保
それは小さな薄氷の内側で。
北沢志保
彼女へ告げる、さよならの言葉。
北沢志保
――――――
北沢志保
日々はモノクロ。明日もきっと。
北沢志保
私に廻るのはいつも冬で。
北沢志保
来年も、その次もまた、きっと雪。
北沢志保
そんな時に出会った、たくさんの灯たち。
北沢志保
淡く優しく照らして、やがて私の冬を廻らせる。
北沢志保
気付けば氷塊の間に虹の色。
北沢志保
今日はカラフル。明日もきっと。
北沢志保
未だ白く冷たい、貴女の両手に。
北沢志保
その体温を、強く握って語ろうか。
北沢志保
私はもっと夢を見ていたい。
北沢志保
そう祈ってもう一度、あの日の心に触れてみた。
北沢志保
おかえりなさい。……嘘偽りだった私。
北沢志保
――ねえ、貴女は見える?
北沢志保
――かつての雪より輝く真白が。
北沢志保
――ねえ、貴女は聴こえる?
北沢志保
――響き溢れる唄の鼓動が。
北沢志保
――ねえ、貴女は感じる?
北沢志保
――星々のような光の世界を。
北沢志保
――ねえ、貴女は知ってる?
北沢志保
――貴女はもう、夢の中に立てている事を。
北沢志保
――ねえ貴女。
北沢志保
――私は、本当だよ?
北沢志保
――――――
北沢志保
嘘とさよならを終わらせよう。
北沢志保
虚飾を払い、ありのままの私の姿を。
北沢志保
これまでを、貴女を、嘘なんかにはしない。
北沢志保
奏でよう。この唇に詩を乗せて。
北沢志保
寒い冬も、暖かな虹も、全部越えて、眩い光に手を伸ばそう。
北沢志保
――それは夢?
北沢志保
いいえ、これは約束。
北沢志保
ほら、指を繋いで。離れないように。
北沢志保
だって、貴女は私でしょう?
北沢志保
――ええ、貴女は私。
北沢志保
私は貴女でしょう?
北沢志保
――そう、私は貴女。
北沢志保
同じ舞台で。
北沢志保
――同じ夢を見ましょうか。
北沢志保
”私たち”の歌は――
(台詞数: 49)