83:爺さんから婆さんへ胸一杯の愛を
BGM
bitter sweet
脚本家
concentration
投稿日時
2014-12-28 02:02:27

脚本家コメント
Led Zeppelin「Whole Lotta Love」1964年
ツッコミのタイミングを間違えると、マジ機嫌悪くなるんじゃよ……。

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北沢志保
【これ程気持ちの籠った良い演奏を聞いたのは、何年ぶりだろうか。】
北沢志保
【しかし、濃密な時は過ぎるのも早い。もう出なければならん時間だ。】
北沢志保
【惜しみながら席を立とうとすると、】
北沢志保
「あら会長、御手洗いですか?」
北沢志保
『何を言っとる志保、そろそろ出ねば会食に間に合わんだろうが。』
北沢志保
「経産連の会食なら、1時間ずれて20時からになりましたが。」
北沢志保
「議長の水無瀬会長に緊急の会談が入りましたので。」
北沢志保
『何だと?儂は何も聞いとらんぞ?』
北沢志保
「些細な事でしたので、特にお伝えしませんでした。」
北沢志保
『些細て、お前……』
北沢志保
「御手洗いでなければ、お座りになったらどうです?次の曲が始まります。」
北沢志保
『ウム……。しかし、予定にまめな水無瀬の小僧がダブルブッキングとは、珍しいな。」
北沢志保
「そうですね、仕込むのに少々苦労しました。」
北沢志保
『お前の仕業か!』
北沢志保
「お機嫌悪くされたまま会食に行かれるのも面倒なので。」
北沢志保
『全く、お前という奴は……』
北沢志保
『褒めてつかわす!!』
北沢志保
「それはどうも。あ、始まりますよ。……あれ、今度は千鶴さんもギターなんですね。」
北沢志保
『………あのギター………』
北沢志保
「千鶴さんのギターですか?あれが何か?」
北沢志保
『59年製レスポール、メイプルの模様が気に入らなくて、ラッカーで黒に塗り替えた……』
北沢志保
『あれ、儂が昔、四条のバカタレにくれてやったヤツじゃ。』
北沢志保
「ああ、昔一緒にバンドを組んでいたという。」
北沢志保
『儂もあやつも、家業を継ぐのが嫌で嫌で、家を飛び出して四畳半のアパートに転がり込んで…』
北沢志保
『同じゼミの胡散臭い奴とつるんで、好き勝手やっとった。』
北沢志保
『儂と四条の阿呆と、この店の店主の三人でな。』
北沢志保
「ああ、そーゆー繋がりだったんですね。あ、この曲もツェッペリンですね。」
北沢志保
『胸一杯の愛を……か。なんじゃ、意図的な選曲じゃのう。』
北沢志保
『店主の奴……、千鶴に吹き込みおったな……。』
北沢志保
「ああ、昔大奥様にこの曲を送ったんでしたっけ。」
北沢志保
『そうそう、懐かしいのう。……って、何でお前まで知っとるんじゃ!』
北沢志保
「情報を制する者が市場を制す、会長の教え通りですが。」
北沢志保
『ぐぬ……、言いよるわ……。』
北沢志保
「ていうか、こんなハードナンバーを、当時新進気鋭のピアニストに送ったんですか?」
北沢志保
「会長、あなた馬鹿ですか?馬鹿なんですか?相手は十中八九引きますよ?」
北沢志保
「せめて天国への階段…も駄目だ。歌詞がそぐわない!ていうかツェッペリンで告白とか無理!」
北沢志保
『く、詳しいのう……。』
北沢志保
『当たり前です!移動の車の中で、どんだけ60・70年代のロック聞かされたか!」
北沢志保
「しかも爺さんの蘊蓄付きで!齢14歳にしてオールドロック博士ですよ!」
北沢志保
「そんな中学生女子、どこにおるっちゅーねん!ここにおるがな!」
北沢志保
「……………。」
北沢志保
『………………。』
北沢志保
『……今の、突っ込んだ方が良かったかのう………。』

(台詞数: 43)