北沢志保
その日は午前中に仕事が終わるか…
北沢志保
丸一日オフの日の方がほとんどだったので…
北沢志保
「今月ってハロウィンあるよな?」のプロデューサーの音頭で…
北沢志保
ハロウィンパーティーをすることになった…
北沢志保
もっとも、言い出しっぺのプロデューサーは何を用意しておらず…
北沢志保
準備のほとんどは恵美さんやエレナさんが先導をきって、行い…
北沢志保
料理は当然に美奈子さんや麗花さんがテンポよく準備を進めていました。
北沢志保
シアターのラウンジを会場にするので、私は飾り付けをと向ったのですが…
北沢志保
可奈やこのみさん、やよいが小さい子達を引き連れて…せっせと飾り付けをして居るところでした…
北沢志保
可奈「あっ♪志保ちゃん!…ごめん先に来てて…」
北沢志保
「いいのよ可奈。私はこういう騒がしいの、少し苦手なところがあるから…」
北沢志保
可奈「志保ちゃん…」
北沢志保
「少し夜風にあたって来てもイイ?」
北沢志保
可奈「…うん。じゃあ、お料理を運ぶ時に呼ぶね?」
北沢志保
「わかったわ……」ごめんね、可奈。
北沢志保
私がテラスに出ると…夜風はやはり、秋の空気を抱いていて…
北沢志保
時折、身を切るような冷たさを感じる風が吹いていた…そテラスに見慣れた人影が一つあった…
北沢志保
「…責任者が不在とは、感心致しませんね…」
北沢志保
プロ「ははっ…こんな場では男はほとんど邪魔扱いされるからね…先に軽く頂いていたよ。」
北沢志保
「まったくもう…」と私はビール缶を片手にテラスに佇む彼の傍へと歩みを進めた。
北沢志保
「…随分小さな缶ですね。」ビール缶は本当に小さく125ccと書かれている。
北沢志保
プロ「……志保はこういうのは苦手かな?」
北沢志保
「苦手というか…楽しいのは好きですが、大人数で騒がしいのはちょっと…」
北沢志保
プロ「…ククッ。そうか、ハハ…」
北沢志保
「なにか?」
北沢志保
プロ「いや、傷付いてたらスマン。…ただ、あんな観客を抱いてライブするのに…」
北沢志保
プロ「たかだか、数十名の仲間内のパーティーで疲れるとは…人というのは不思議なもんだな…」
北沢志保
「…酔っていますね。」
北沢志保
プロ「多分な…」
北沢志保
「仲間は…」
北沢志保
プロ「ん?」
北沢志保
「仲間は…みんな好きですよ。」
北沢志保
プロ「そうか…」
北沢志保
「それに、ライブのお客様は仲間のそれとは別です。」
北沢志保
プロ「…ん。悪かった、もうイイよ。」
北沢志保
「貴方はその立ち位置で息苦しい時あるんですか?」
北沢志保
プロ「どうだろうな…志保と立ち位置はあまり変わらないかもしれないな。」
北沢志保
「というと?」
北沢志保
プロ「志保は仲間全体を常に見て、良くしようとする。けど、仲間は同じ歳でレベルも同じ…」
北沢志保
プロ「志しを高く持つのもイイがもう少し柔らかく行こうや…志保。」
北沢志保
プロ「高いところばかり見ていると、自分の足元がおぼつかなくなる。」
北沢志保
プロ「基本から楽しくして行ければ、その先も楽しいと私は思うぞ?」
北沢志保
プロ「もっとも、締めるところはしっかり締めるがな?」
北沢志保
「ビール一缶でへべれけですね…話のつじつまが合いませんよ…」
北沢志保
プロ「んー、顔が熱いなぁ…」
北沢志保
「だっ大丈夫ですか、本当に…」
北沢志保
プロ「私は常に本気さ…志保、キミに対してもね。」
北沢志保
「え……。」可奈「志〜保ちゃ〜ん!」
北沢志保
「あっ、私行きます。プロデューサーも参加して下さいね?きっとですよ!」
北沢志保
その時、見送る志保の背中は…私にはとても輝いて見えた。
(台詞数: 50)