北沢志保
P…誰もいなくなった事務所で俺は立ち尽くしていた
北沢志保
P…ブラックボードに書かれた『プロデューサーが帰ってくるまで後1日』が寂しく揺れている
北沢志保
P…めくられる日を待ち続けたその紙はついには俺の死によりめくられることはなくなったのだ
北沢志保
P…彼女の言葉を借りるのならこの紙もまた俺と同様『役目を終えた』のだ
北沢志保
P…もしくは、俺のようにやり残した事があると縛られているのだろうか
北沢志保
時間です
北沢志保
P…紙を眺める俺の後ろから声がした
北沢志保
P「時間?」
北沢志保
私はあなたに少し時間を与えたでしょう、そのロスタイムももう終わりです
北沢志保
P「ああ、そういうことだったのか、それにまた見た目を変えたのか」
北沢志保
はい、今は北沢志保という少女の情報をお借りしています
北沢志保
P「そうか、志保って呼ぶわけにもいかないから名前を教えてくれないですか?」
北沢志保
名前?…そうですね…人々は私達の事を『死神』と呼んでいます、なので死神でいいです
北沢志保
P「死神さん…頼むもう少し時間をくれないか?俺はまだ春香達を見守ってやりたい」
北沢志保
P「まだ…もう少しだけ俺が必要なんだ」
北沢志保
言いましたよね、時間切れですと、それに「俺がまだ必要?」、何を言ってるんですか…
北沢志保
それは事実ではなく、Pさん、あなたの「願望」ですよ、あなたが彼女達に必要だと思われていたい
北沢志保
もしそうだったとしたらあなたがここに居座る理由になるのだから…
北沢志保
P「そ、それは…」
北沢志保
あなたに残された選択肢は二つです、今すぐ私と還るべき場所にいくか…
北沢志保
私とこないで、誰からも認知されずにここに取り残され一生寂しい思いをするか…どちらかです
北沢志保
あなたがもし後者を選択したら、私が迎えに来ることはもうない
北沢志保
私はあなたに十分、現実を見る時間をあげたはずです、彼女達にあなたは必要ない
北沢志保
P「それでもここに残れば俺はずっと彼女達を見守ることができる、違うか?」
北沢志保
ずっと?、はい、確かにずっと見守る事はできます、あなたはずっとここにいることができる
北沢志保
しかし人が死ぬのと同様、彼女達がずっとここにいることはありえないんですよ
北沢志保
いつかみんな、ここを去る、その時になってもあなたは独りでずっとここに縛られるんですよ?
北沢志保
例え彼女達を見守れたとしても、あなたは何かができるんですか?
北沢志保
P「…」
北沢志保
なにもできないですよね、なにもできない自分に腹をたててあなたは変わっていく
北沢志保
だんだん醜くなっていくんです、『寂しさ』や『怒り』の感情だけが日に日に増していって
北沢志保
あなたの魂は支配される、そうするとどうなるかわかりますか?
北沢志保
P「わからない…」
北沢志保
危害を加えるようになるんですよ、それを人々は『幽霊』だとか、『悪霊』と呼ぶでしょうね
北沢志保
そして恐れられる、あなたは自分の意思に反して人を傷付けるようになる、もしかしたら彼女達も…
北沢志保
それでもいいんですか?
北沢志保
P「俺は…そんな風にはならない」
北沢志保
みんなそういうんですよ、でもみんな堕ちていく、脅しではありませんよ
北沢志保
…
北沢志保
呆れました、何を言ってもあなたの意思は変わらないみたいですね
北沢志保
最後にもう一度聞きます、私と来てくれますか?
北沢志保
P「いけない」
北沢志保
そうですか、残念です
北沢志保
意思が強くても曲げられない事もあるんですよ、ですが、まあせいぜい頑張ってください
北沢志保
(あなたのような魂が堕ちていくのをみるのは辛いですが)
北沢志保
(幸運を祈ります)
北沢志保
P…俺はこのただの紙切れになってしまった紙と同じだ
北沢志保
P…役割を遂行できなくなった魂と紙切れ、価値は等しい
北沢志保
P…ただそこにあるってことはまだなにかできるはずなんだ、そうなにかが…
北沢志保
~たとえ見守るという選択は間違っていたとしても~
(台詞数: 50)