矢吹可奈
(いよいよ明日、か…)
矢吹可奈
(ちょっと緊張するなぁ。大丈夫かな…なんて、弱気になっちゃダメだよね)
矢吹可奈
(ーーノックの音?誰だろう…)はーい?どうぞー。
北沢志保
……失礼します。
矢吹可奈
シホちゃん!どうしたの?
北沢志保
お休みのところすみません。その、少し…お話したいことが……。
矢吹可奈
…?えっと…とりあえず、適当に座って?
北沢志保
………。
矢吹可奈
(遠い…。わざわざベッドの端に座らなくても…)
北沢志保
……明日、ですね。
矢吹可奈
…うん、そうだね。シホちゃんは不安?
北沢志保
まあ、少し…。
矢吹可奈
大丈夫だよ。この3日間で部隊の人たちとも仲良くなれて、連携もうまく取れるようになったし。
北沢志保
そうですね。あの軍曹は相変わらずでしたが。
矢吹可奈
あはは、そうだね。でもなんだかんだで私たちにも役割を与えてくれたんだし。
北沢志保
彼らが奇襲をかける際に注意を引き付ける囮役ですけどね。その部隊でも後方に配置するなんて…。
矢吹可奈
まあまあ。私たちがしっかり仕事をすれば奇襲が成功する確率も上がるんだから。頑張ろうよ!
北沢志保
………。
矢吹可奈
………?
北沢志保
一つ、お聞きします。…隊長はノノハラ一等兵とどのようなご関係だったのですか?
矢吹可奈
…や、やだなぁ。初対面だよ。ノノハラ一等兵だってそう言ってたはずだけど。
北沢志保
そうでしたね。…ですが、あの時に隊長は他にもいろいろと気になることを言っていましたよね。
矢吹可奈
あ、あれはー…えっと……。
北沢志保
隠すような後ろめたいことなんですか?……私にも、言えないようなことなんですか…?
矢吹可奈
そうじゃないの。…ただ、そっくりだったんだ。この前の戦争で戦ったエイリアンと。
北沢志保
エイリアン…?
矢吹可奈
あ、でも完全に悪い人じゃなかったんだよ!いろいろ話したり、助けてもらったりもしたし…。
北沢志保
…なるほど。では、最近隊長が私を見てくれないのもそういうことなんですね?
矢吹可奈
…な、何言ってるの?今だってシホちゃんのことはちゃんと見て…。
北沢志保
誤魔化さないで!あなたが私を通して誰か別の人を見てることに気づいてないとでも思ったの!?
矢吹可奈
シホ、ちゃん……。
北沢志保
…ごめんなさい。でも不安になるの。近くにいるはずなのに、あなたはずっと遠くを見ているから…
北沢志保
もしかしたら、そのまま遠くを見たままいなくなって、置いていかれてしまうんじゃないかって…。
北沢志保
カナ、私を見て。私に似た誰かじゃない、ここにいる私を見てよ。お願いだから…っ!
矢吹可奈
…ごめんね。ただでさえ知らない所に居るのに…不安にさせちゃってごめん。
矢吹可奈
大丈夫、私はいなくなったりしないよ。絶対にシホちゃんを一人で置いて行ったりしないから。
北沢志保
……すみません、少し…取り乱しました。
矢吹可奈
ううん、私も謝らなきゃ。シホちゃんを見てあの人のことを思い出したのも本当だから。
矢吹可奈
……約束したんだ。平和な世界を、誰もが笑って暮らせる世界を作るって…。
北沢志保
その約束は…私に似た誰かとしたものなんですか?
矢吹可奈
いろんな人と、かな。あの戦争では本当に、本当にたくさんのことがあったから。
北沢志保
…そうですか。
矢吹可奈
今は私が765小隊の隊長で、こうして任務で月まで来てる。…そして、隣にはシホちゃんがいる。
矢吹可奈
顔はそっくりだけど、シホちゃんはシホちゃんだって私が一番知ってるよ。だっていつも見てるから
矢吹可奈
置いてなんていかない。ずっとついて来て欲しい。頼りない隊長だけど…これからも支えてくれる?
北沢志保
……ええ、もちろん。
矢吹可奈
えへへっ!これからも頼りにしてるからね、シホちゃん!明日も頑張ろう!
北沢志保
ええ。…気が抜けたせいか、少し眠気が…。
矢吹可奈
あ、ならここ使っていいよ。あとでシホちゃんのお部屋まで送るから。おやすみ～。
北沢志保
(情けないところ見せちゃったな…。でも、ちょっと安心した。おやすみ、カナ…)
(台詞数: 50)