北沢志保
きっと、貴女は私が出会った中で一番【強い】人
北沢志保
そして同時に、最も【弱い】人
北沢志保
音痴という、アイドルとして、致命的なまでの【弱さ】
北沢志保
最初に出会った時は、その【弱さ】にイライラした。どうしてこの人はこんなに【弱い】のだろうと
北沢志保
そしてその【弱さ】を、どうして恥ずかしがらないのか、隠そうとしないのか
北沢志保
ただ、【強さ】しか知らなかった、求めていなかった私には、理解できなかった
矢吹可奈
最初に出会った時、この人の【強さ】が眩しかった
矢吹可奈
それこそが、私の求めていた【強さ】だったから。誰にも頼らない。一人で全てを終わらせる
矢吹可奈
そんな孤独にも似た暴力的な【強さ】が、私は欲しくてたまらなかった
矢吹可奈
だから訪ねた事がある。『どうして貴女はそんなに【強い】のですか?』と
北沢志保
私は答えた。『【弱い】貴女には理解できないでしょう』と
矢吹可奈
私は落胆した。その時まで、私自身が【弱い】なんて思っていなかったから
北沢志保
放心状態で立ち尽くす彼女を見て、【弱い】私は思うのだ『ああ、なんて【弱い】人間』と
矢吹可奈
思えばあの時からかもしれない。憧れを捨て、私なりの【強さ】を探し始めたのは
北沢志保
思えばあの時からかもしれない。自分の【強さ】を疑い始めたのは
矢吹可奈
そうして私なりの【強さ】を探すうちに、気づいてしまった。【弱さ】とは、【強さ】でもあると
北沢志保
私は気づいた。【強さ】を疑い、尋ね、応え、再び疑う。そんな自分はどこまでも【弱い】のだと
矢吹可奈
【強さ】と【弱さ】はイコールだ。そして、それら片方しか持ち得ない人間は、どこまでも【弱い】
北沢志保
片方しか持ち得ないのに、その片方を疑ってしまった時。それは自分が【死ぬ】事と同義
矢吹可奈
そうして再び彼女に出会った時、彼女は【死んで】いた
北沢志保
私はその時、致命的な【弱さ】を持っていた貴女を羨ましいとさえ思っていた
矢吹可奈
再び私は尋ねる。『貴女の【弱さ】とは何ですか?』と
北沢志保
再び私は答える。『わからない』と
矢吹可奈
『なら』と私は言う。『一緒に探しませんか?』と
北沢志保
彼女は続ける『私は【強さ】を探します。貴女は【弱さ】を探しましょう』と
矢吹可奈
そうして始まった、私達のおかしな関係
北沢志保
【強い】のに【弱い】私。【弱い】のに【強い】貴女
矢吹可奈
……あれから時が流れて、いつまで探しても、まだ答えは出ないけれど
北沢志保
『ゆっくりでいい。一緒に探していきましょう』と【弱い】貴女は笑うのでしょう
矢吹可奈
『その様子じゃいつまで経っても見つからなさそうね』と【強い】貴女はため息をつくのでしょう
北沢志保
でも、どんなにゆっくりでも、いつか答えは見つかるハズだから
矢吹可奈
今日も貴女と探していこう。この、煌くステージの中で
北沢志保
本当の【弱さ(つよさ)】と本当の【強さ(よわさ)】を
(台詞数: 33)