音無小鳥
ある日のプロデューサーさんの行動の一コマ…
音無小鳥
何かを忘れようとしているのか…思い出そうとしているのか。
音無小鳥
時々、誰も居ない事務所でぬいぐるみを抱えながら…窓の空を眺める彼。
音無小鳥
こんな日は彼に気が付かれない様に帰り、独りにさせてあげていました。
音無小鳥
でも、そんな彼を良く見ている子が居ました。
北沢志保
キィ。「プロデューサーさん、お疲れさ…ま…。」え…、どうしたのかしら。
北沢志保
その日、オーディション終了が遅くなってしまい。
北沢志保
陽が沈み始めようとする頃に事務所に帰ってきた私は…今迄見た事の無い、彼の素顔を見た…
北沢志保
彼はクマのぬいぐるみを抱き締め、沈もうとする陽を追う様に眺めている。
北沢志保
「え…っと、戻りました。」
北沢志保
プロ(…ん。)
北沢志保
私はもう一度彼に語り掛けましたが私に短く返事を返すだけ…「どうしたの…ねぇ。」
北沢志保
私は二人だけで居る時の様に楽し気に語り掛けましたけど、まだ同じ…
北沢志保
「どうしたのかしら、私に出来る事…ぁ。…少し恥ずかしいけど、あの衣装を見せようか。」
北沢志保
私は事務所の更衣室で以前着た、あの衣装を引き出した。「あの時は恥ずかしかったけど…」
北沢志保
ジャン♪♪「プロデューサーさん♪」私はいつも以上に恥ずかしいノリで彼の視線の先に出た…
北沢志保
メイド服は久しぶり…この手の服は正直苦手で着るのを躊躇うけど…
北沢志保
初めてコレを着た時、彼がニコニコして居たから…きっと、お気に入りなんだと思う。
北沢志保
「……。」プロ(……。)
北沢志保
「……。」プロ(…ぁ、志保?)
北沢志保
「あぁ、良かった。」私は彼と彼が抱き締めるクマごと彼を抱き締める。
北沢志保
プロ(オーディションは終わってきたのか…。)「はい、いましがた。」
北沢志保
プロ(そうか…ぁ。)「なんです?」(志保に見られたく無いもの見せたなぁ。)
北沢志保
「可愛いですね、その子。」プロ(うん。)「その子に思い入れが?」
北沢志保
プロ(この子は私が幼い頃の女友達が大切にして居たものと同じもの…)
北沢志保
プロ(幼くして亡くなったんだよ…彼女。この位の時間に、事故でね…)
北沢志保
「…何か、彼女に言い残したことでも?」
北沢志保
プロ(…謝ることができなかったんだよ、ある事を…)
北沢志保
「じゃあ、お盆に彼女のお墓に行きましょう。」
北沢志保
プロ(行ってどうするんだ?)
北沢志保
「謝るんです。お墓の前で…彼女もきっと分かってくれます。」
北沢志保
プロ(変わり果てた私が分かるかな?)
北沢志保
「きっと分かってくれますよ。その頃の心が今も有るんですから。」
北沢志保
「私、困ったことが有ると父のお墓に行くんです。そして、私だけ話をして聞いて貰います。」
北沢志保
「そうすると、気持ちの切り替えが不思議と出来るんですよね…多分受け止めてくれてるんです。」
北沢志保
「私も付いて行きますから、尋ねてみましょう。」
北沢志保
「きっと、彼女も聞いてくれますよ。」
(台詞数: 37)