北沢志保
ーー それは、ある日のこと。
矢吹可奈
ー♪ー♪♪ー♪♪♪…
北沢志保
!!
北沢志保
可奈の歌声…。いつもと違って、凄く…上手…っ!
北沢志保
いったい、あのコに何が…!? 可奈!
矢吹可奈
…あ、志保ちゃんっ♪
北沢志保
可奈。いまの歌、凄く上手かったじゃない!その…い、いつもと違って。
北沢志保
何か、コツみたいなものを掴んだの?
矢吹可奈
あ、うん。コツ…っていえばコツなのかなあ。
矢吹可奈
…ちょっとね。あることを考えながら歌うと、なんか凄く気持ち良く歌えるみたいなんだ。えへへ。
北沢志保
『あること』…?
北沢志保
あ、わかったわ。千早さんとか、春香さんのこと、じゃないの?
矢吹可奈
ううん、違うの。もうちょっと、こう…身近、っていうか…
矢吹可奈
…やっぱり秘密。恥ずかしいもん。
北沢志保
ええっ!?
北沢志保
身近で、恥ずかしい、こと…?いったい、何のことなんだろう?
北沢志保
ーー 数日後。
北沢志保
可奈、あれだけ上手くなったら、私のアドバイスなんてもう必要ないわよね…。
北沢志保
可奈が上達して。嬉しいやら、寂しいやら…。
北沢志保
もう!…何で、私がこんな気持ちになってるのよ!
北沢志保
…可奈のステップアップ。友達として、喜ぶべきところじゃない…!
矢吹可奈
～♪～♪♪～♪♪♪…
北沢志保
!?
北沢志保
下手になってる!?…いや、以前の歌声に戻ってる!
北沢志保
可奈!
矢吹可奈
志保ちゃん。
北沢志保
か、可奈。このあいだ、歌のコツを掴んだんじゃなかったの?
矢吹可奈
…うん。わかってる。
矢吹可奈
今は歌っていても、あのときみたいな気持ち良さがないんだ。
矢吹可奈
…私、満たされちゃったのかなあ…。
北沢志保
……あ…!
北沢志保
ねえ、可奈?
北沢志保
あなた、少し太ったんじゃない?
北沢志保
前に言ってた『歌のコツ』って…
北沢志保
もしかして、食べ物のこと!?
矢吹可奈
…志保ちゃんの目はごまかせないね…。
矢吹可奈
実はね。
矢吹可奈
私の大好きなプチシューが、新フレーバーになる…って聞いて、
矢吹可奈
楽しみで楽しみで!『どんな味なんだろう』って考えただけで。自然に、気持ちが弾んで…!
北沢志保
……。
矢吹可奈
…でもね、いざ発売になって。美味しくて美味しくて、朝も昼も夜も食べてたら…
矢吹可奈
体重が…凄いことになってたの!
矢吹可奈
…プチシューのおかげで、歌も上手くなって、
矢吹可奈
『プチシュー、ありがとう!』って思ってたのに…ぐすっ、うわあぁぁん!
北沢志保
…可奈。しばらくプチシューは封印、だね…。
矢吹可奈
ぅぐっ、ひっく…。志保ちゃあぁん…!
北沢志保
ーー こうして私たちは、以前の関係に戻った。
北沢志保
いや。以前よりも少し、可奈が甘えてくるようになったかもしれない。
北沢志保
…それを『嬉しい』と感じている自分がいる。
北沢志保
…これは。私も、プチシューに感謝すべきなのかしら…?
(台詞数: 50)