北沢志保
ハァ…ハァ…このみさんの話だと、この辺りに可奈がいるはずなんだけど…。
北沢志保
ーー見つけた。可奈!
矢吹可奈
あっ、しほおねえちゃん…。
北沢志保
探したわよ。…なんであっちを向いてるの?おいで、そんなに水辺に寄ったら危ない……。
矢吹可奈
あの……おねえちゃん、まだおこってる…よね。わたしがぬいぐるみこわしちゃったこと…。
北沢志保
怒ってない。あれは私もちょっと言い過ぎたし…。
矢吹可奈
……たいせつだったんだよね。それをわたしがこわして、おねえちゃんをかなしませちゃった…。
北沢志保
…あれはね、友だちからもらったものなの。私の誕生日にね。
矢吹可奈
それって、ぷれぜんとってこと…?
北沢志保
そうなるのかな。不器用なくせに頑張って縫ってきて、絆創膏だらけの手で渡してくれたわね。
北沢志保
…すごく嬉しかった。私にとってどんなお店で買うより、どんな高いぬいぐるみよりも大切だった。
矢吹可奈
そう…だったんだ。そんなにたいせつなものをこわしちゃったなんて…。
北沢志保
そうね。でもあのときは私も気が動転してたし、あなたがわざとやったわけじゃないのもわかってる
北沢志保
だから改めて言うけど……ごめんなさい、可奈。
矢吹可奈
……えっ?
北沢志保
ちょっと言い過ぎた。あなたが謝ろうとしてるのに、私は聞こうともせずに怒ってばかりだったし。
北沢志保
壊れてもまた縫い直せばいいのに、ちょっと感情的になりすぎた。だから…ごめんなさい。
矢吹可奈
そんな…わるいのはわたしだよ。やさしくさわってっていわれてたのに、つよくにぎっちゃったし…
矢吹可奈
おねえちゃんがいいよっていってないのにかってにさわって、こわしちゃって……ごめんなさい。
北沢志保
……ふふっ。二人して謝ってなんだかおかしいわね。どっちも悪いってことで、おあいこにしない?
矢吹可奈
おあいこ…?じゃ、じゃあ…わたしのこと、ゆるしてくれる…?
北沢志保
ええ、もちろん。可奈も私のこと許してくれる?
矢吹可奈
うんっ!えへへ、これで「おあいこ」だね♪
北沢志保
そうね。……あ、そうだ。一つ訂正したいんだけど。
矢吹可奈
??なーに?
北沢志保
「私とぬいぐるみ、どっちが大事」って質問の答え。あれ、前の回答はナシ。
北沢志保
ぬいぐるみも大事だったけど、あなたの方がもっと大事。…だから帰っておいで、可奈。
矢吹可奈
……ふえっ……うう、おねえちゃん…っ!
矢吹可奈
……あっ!?(ツルッ)
北沢志保
(滑っ…た…?そうか、足元が水辺で濡れてるからこっちに振り向いたときに…!)
矢吹可奈
(ドパーン)ゴボボ…ゴボボボ……!
北沢志保
ーー可奈ッ!?待ってて、今助けるから!!
(台詞数: 32)