二階堂千鶴
…
二階堂千鶴
(お兄様、どうぞ安らかに。後のことは引き受けましたわ、安心なさって?)
木下ひなた
話は聞いたよ千鶴。本気なのかい?
二階堂千鶴
おば様。ええ、覚悟を決めましたわ。組はわたくしが引き継ぎます。
木下ひなた
本当にいいんかね。兄さんが何の為にあんたを海外留学までさせたと思ってんのかい?
二階堂千鶴
分かってます、兄がわたくしをこの世界から遠ざけようとしていた事は。
二階堂千鶴
ですが。あんな殺され方をした兄の為に泣いてくれる人達を見捨てるなんて真似、わたくしには…
木下ひなた
そうかい…
木下ひなた
なあ千鶴。お日様は好きかい?
二階堂千鶴
え?
木下ひなた
お日様ってのはいいもんだよお。大きくて、あったかくって。
木下ひなた
だから、みんな騙されちまう。あの下にいれば大丈夫だ、あそこにいれば幸せになれるってね。
木下ひなた
けどね。お日様ってのはあったかくっても、優しいもんじゃねえんだ。
木下ひなた
近付くと熱くって火傷しちまう。からからに干からびたって、助けてなんかくれやしない。
木下ひなた
お日様ってのはむごいものでもあるんだよ。あたしらみたいな半端モンにとっちゃ特にね。
木下ひなた
あたしはお日様が好きだよ。けどね、あたしらはその下では生きてはいけない。
木下ひなた
明るい世界で姿を晒せるような身分じゃねえ。あんたが来るのはそんな所だよ、いいのかい?
二階堂千鶴
…後悔はしません。たとえ、どんな事になったって。
木下ひなた
千鶴…
二階堂千鶴
大丈夫。暗い所は嫌いではなくてよ?かくれんぼは昔から得意でしたしね。
二階堂千鶴
それに紫外線はお肌の大敵ですもの。この美貌を損なうような真似、断じていたしませんわ!
木下ひなた
やれやれ。そういう変な所で自信過剰なのはあんたの母ちゃんにそっくりだねえ…
二階堂千鶴
おば様。わたくしの事を案じていただき、ありがとうございます。本当に感謝してますわ。
二階堂千鶴
ですがやはり、千鶴もこの世界の人間なのです。兄の無念を晴らす為にもいつか、千川をこの手で…
木下ひなた
千川組か。兄さんもとんだ連中に目をつけられちまったもんだね。
二階堂千鶴
失礼します。襲名式の日取りは決まり次第連絡しますわね?
木下ひなた
したっけ。後見人の件は引き受けたよ、頑張りな?
木下ひなた
ふう。千鶴もこれからが大変だねぇ、お嬢様だったあの娘にやれるような稼業じゃないと思うが。
木下ひなた
…もしもし?上手く行ったよ、二階堂組は妹が引き継ぐそうだ。
木下ひなた
ああ、任せときな。どうせ解散寸前の組だ、ちょっと声掛けりゃ内通者なんざすぐ見つかるよ。
木下ひなた
可愛い姪っこを裏切るんだ、それ相応の見返りは貰わねえと困るよ?じゃ、よろしく…千川の。
木下ひなた
…言ってなかったね千鶴。暗闇の中で手を引いて貰おうってんならね、相手の見極めが大切なのさ。
木下ひなた
気を付けねえとね、何をされるか、どこに連れてかれるか分かったもんじゃない。
木下ひなた
残念だよ、何にも気付かず手を引かれちまって。どうやらあんたも兄さんと同じらしい。
木下ひなた
ま、この世界で生きていこうってんだ、いい教訓になっただろ…授業料は少々高くついたがね。
木下ひなた
さてと。ひよっこのあんたが千川を相手に回してどう切り抜けるやら、高みの見物さしてもらうよ?
(台詞数: 36)