木下ひなた
しばらくボーッとしていると、ゲートをくぐったはずのひなたが、こちらに走ってきた
木下ひなた
もう飛行機に乗ったはずじゃ…
木下ひなた
「はぁ…はぁ…よかった、間に合ったね」
木下ひなた
『なんで、飛行機…』
木下ひなた
「あのね、聞いてほしいことがあるんだ!」
木下ひなた
「あたしね、がんばっから!」
木下ひなた
「がんばって、テレビ出て、そしたら」
木下ひなた
「大好きな君に、君だけに、歌うから!」
木下ひなた
「そんで、いっちばんすごいアイドルになったら、帰ってくるから!」
木下ひなた
「だから、待ってて!」
木下ひなた
『………』
木下ひなた
いや、え?
木下ひなた
これ、え、こく、はく?
木下ひなた
『ひなた…それ、告白…ってことで、いいの、かな…?』
木下ひなた
「うん!」
木下ひなた
『そっ、か…ありがとう』
木下ひなた
『ここ、結構人いるけど、いいの?』
木下ひなた
「え?」
木下ひなた
「……」
木下ひなた
「……あ」
木下ひなた
「うう…やっちゃった…」
木下ひなた
「で、でも!ちゃんと伝えたよ!」
木下ひなた
「約束だよ!」
木下ひなた
『……アイドルが、そういうのっていいの?』
木下ひなた
「わかんないよ、でも」
木下ひなた
「伝えられないのが、一番怖かったから」
木下ひなた
『…そっか』
木下ひなた
『……アイドル、がんばれよ』
木下ひなた
「………うん」
木下ひなた
『待ってるから』
木下ひなた
「うん」
木下ひなた
ーーいつになるか、わからない約束
木下ひなた
以上が、僕の思い出話
(台詞数: 33)