高木社長
もう、挨拶は済んだかい?
木下ひなた
あ、えっと…
高木社長
ああ、失礼、怪しいものではないよ
高木社長
わたしは、765プロダクション社長、高木だ
木下ひなた
社長さん…?
高木社長
ああ
高木社長
それで、どうかな?
高木社長
別れの挨拶は?
木下ひなた
…うん
高木社長
……そうか
高木社長
いやね、私の目にはどうも
高木社長
君の顔が曇っているように見えてね
木下ひなた
え?
高木社長
なにか言いたげな、押し殺したような
木下ひなた
……
高木社長
その人は、大切な人かい?
木下ひなた
………うん、なまら
木下ひなた
………うん、なまら、ええと、とても、大事な人、です
高木社長
ははは、方言、可愛らしいじゃないか
高木社長
やはり彼の目に狂いはなかったね
高木社長
だが、曇った笑顔のままでは、せっかくの愛らしさが台無しだ
高木社長
………私はね、伝えたいことは伝えなければいけないと考えていてね
高木社長
大切な人に伝えたいことならなおさら、後悔する前に
木下ひなた
それが、例えば、これから隠さなくっちゃいけんことでもかい?
高木社長
……きっと、それは、君の中でこれからもどんどん大きくなることだろう
高木社長
押し殺して、それに押しつぶされる
高木社長
叶わないとしても、伝えたい
高木社長
どうする?
木下ひなた
………
高木社長
……飛行機の時間はまだある、でも、ここで乗ってしまえばもう伝えられないかもしれないよ
木下ひなた
…あたしは
木下ひなた
…あたしは、伝えたい
木下ひなた
…あたしは、伝えたい…伝えたいよ
木下ひなた
答えられないかもしれない、でも、聞いてもらえないなんて、嫌だ
高木社長
…そうか、なら、いっておいで
高木社長
私はここで待っているから
木下ひなた
はい
木下ひなた
……まだ、いてね…!
(台詞数: 38)