我那覇響
なんだ?
七尾百合子
千早さんは、幼い頃に弟さんを交通事故で亡くしているのはご存じですよね
我那覇響
…………
七尾百合子
あー……
我那覇響
し、知ってたぞ
七尾百合子
こほん……その弟さんの名前が優さんなんです
七尾百合子
件の『優くん説』ですが、優さんが亡くなったとされる交通事故にあったのは
七尾百合子
弟さんではなく、千早さんだったのではないかとする考え方です
我那覇響
千早はあそこにいるじゃないか
如月千早
~♪
七尾百合子
あれが本当に千早さんであると、響さんには証明出来ますか?私には出来ません
我那覇響
千早は千早だろ
七尾百合子
優さんは、いつも千早さんの歌を傍で聴いていたそうです
七尾百合子
当時はけして上手くはなかったそうですが、優さんは千早さんの歌が好きで
七尾百合子
千早さんも優さんに歌うことが大好きだったみたいですよ
七尾百合子
そんな優さんが、千早さんを失ったらどうすると思います?
我那覇響
悲しくて泣いちゃうだろ
七尾百合子
ええ、泣くでしょう。そして、こんなことは嘘だ、お姉ちゃんは生きてるって思ったとしたら……
七尾百合子
おのずと答えは見えてきますよね
我那覇響
ど、どうするんだ?
七尾百合子
簡単ですよ。自分が千早さんになればいいんです
七尾百合子
幸い二人は顔つきもよく似ていましたし、お姉ちゃんの歌は毎日聴いていましたからね
七尾百合子
亡きお姉ちゃんの遺志を継いで、歌姫になったのが今の千早さんというわけです
我那覇響
優は男なんだろ?そんなこと出来るわけないじゃないか
七尾百合子
ところが、それを裏付ける根拠も提示されているんです
七尾百合子
まず、私や響さんが上目遣いになるくらいには、千早さんは、長身です
七尾百合子
次に、ややハスキーで圧倒的な声量
七尾百合子
そして女性的な起伏が少なく、筋肉質な体というわけです
七尾百合子
他にも、服飾センスや言動など、枚挙に暇がありません
七尾百合子
先程の質問に戻りますが、響さんには証明出来ますか?あれが本当に千早さんであると
我那覇響
…………
七尾百合子
もっとも、『アスラクライン』の黒崎朱浬(紫浬)や、お姉さんは存命ですが
七尾百合子
『俺の妹がこんなにかわいいわけがない!』の槇島沙織など
七尾百合子
小説ではそれほど珍しい設定ではありません
七尾百合子
噂話と一蹴するのが、精神衛生上いいでしょうね
我那覇響
わ、わかったぞ
七尾百合子
目下の私の問題は、川上稔先生の新刊のページ数です
七尾百合子
読み終わる頃には、私に怪力なアーバンネームがついてそうです
(台詞数: 38)