矢吹可奈
ふわり、か〜ぜ〜お〜どる〜♪かえり〜み〜ち〜、Under the
矢吹可奈
ふわり、か〜ぜ〜お〜どる〜♪かえり〜み〜ち〜、Under the darkness sky
矢吹可奈
はぁ…今日も残業疲れたな…上司からは怒られるし、散々だよ。
矢吹可奈
(私の名前は矢吹可奈。どこにでもいる普通のOLなの。)
矢吹可奈
金曜日だし、「乙女ストーム!」に行こうかな。
矢吹可奈
(ガールズバー「乙女ストーム!」は、ピュアな心を持つ女の子のための健全なバーだよ。)
矢吹可奈
(最初は「怪しいお店かも」と思ったけれど、そんなことはなくて、今では毎週通っているんだ。)
矢吹可奈
こんばんわ〜。
真壁瑞希
いらっしゃいませ、矢吹さん。お席にご案内します。
矢吹可奈
(この人はミズキさん。裏方から接客までこなす、お店のリーダーだよ。)
矢吹可奈
あれ?今日はお客さんが多いですね。
真壁瑞希
ええ。団体のお客様が来ていまして、他の女の子たちも大忙しです。
真壁瑞希
なので、矢吹さんのお相手は私が致します。
矢吹可奈
えっ、ミズキさんがですか?
真壁瑞希
嫌…でしょうか?
矢吹可奈
いえいえ!ただ、ミズキさんに接客されるのは久しぶりだなーって。
矢吹可奈
(気分を明るくしたいから、本当はもっとテンションの高い人が良かったけれど…。)
矢吹可奈
それより、コーラをお願いします。ミズキさんは烏龍茶でいいですか?
真壁瑞希
ありがとうございます。いただきます。
矢吹可奈
(その後)
矢吹可奈
……はぁ。
真壁瑞希
…お疲れのようですね。
矢吹可奈
あっ!す、すみません!私ったら溜息なんて!
真壁瑞希
いいんです。ただ、先程から何か落ち込んでいるように見えますが、お仕事のことでしょうか?
矢吹可奈
えっと……はい。実は…そうです。
矢吹可奈
私、今の仕事向いてないのかなぁって思うんです。いつも失敗して怒られてばかりですし。
矢吹可奈
あんまり役に立っている気はしないし、毎日残業ばかりで帰りは遅い上に朝は早いし…。
矢吹可奈
最近はご飯も美味しくなくて…いっそのこと全部辞めちゃおうかなー、なんて。
真壁瑞希
…………。
矢吹可奈
あっ!ごめんなさい!こんな話、つまらないですよね…あはは…。
真壁瑞希
(ぎゅっ)
矢吹可奈
ぶふっ!?み、ミズキさん!?
真壁瑞希
このままでお願いします。このまま、もっと聞かせてください。
矢吹可奈
聞かせてって…ええ!?
真壁瑞希
こういう時、私は気の利いた台詞の1つも言えません。明るく場を盛り上げることもできません。
真壁瑞希
私にできるのは、こうやって抱きしめることと…話を聞くことくらいです。
真壁瑞希
だから、聞かせてください。矢吹さんの辛かったこと、苦しかったこと、全部、全部。
矢吹可奈
ミズキさん……。
矢吹可奈
…今の上司が嫌な人なんです。いつも私を虐めてくるんです。
矢吹可奈
自分の仕事を押し付けて、少しミスしたら怒鳴ってきて、私のせいにして。
矢吹可奈
(気づけば、ポロポロと愚痴が、不満が、ずっと抑えていたものが溢れ出した。)
矢吹可奈
(その間、ミズキさんは私の頭を優しく抱いて、撫でて、私の話に耳を傾けてくれた。)
矢吹可奈
(温かい…私は忘れていた。人の温もりって、こんなにも安心するんだ。)
矢吹可奈
(まるで、お母さんに抱っこされていた、あの頃のような……。)
矢吹可奈
可奈はこんなに頑張ってるのに、周りは誰も助けてくれないの…悲しいよぉ…やだよぉ…。
真壁瑞希
よしよし…。悲しい時は泣いていいんです。好きなだけ泣いてください。
真壁瑞希
今この瞬間、私だけは、矢吹さんの味方ですよ。
矢吹可奈
ま、ママ…ミズキママ…。
矢吹可奈
ママァーーーーーーーッ!!!
真壁瑞希
(こうして、ガールズバー「乙女ストーム!」の夜は、今日も更けていくのでした。)
(台詞数: 50)