矢吹可奈
…わちゃっ、油がはねたっ!
矢吹可奈
うう、なかなかドジが減らないなぁ…
矢吹可奈
…あれ?
矢吹可奈
…動いてる?
矢吹可奈
もしかして、成功…!?
矢吹可奈
…じー…
矢吹可奈
…気のせいか
矢吹可奈
――
矢吹可奈
私、矢吹可奈はあれから、コロッケ職人を志しました。
矢吹可奈
この10年、コロッケ職人として揚げて、揚げて、揚げて、揚げて、揚げまくり。
矢吹可奈
そして、アイドルとしても会場をアゲて、アゲて、アゲて、アゲて、アゲまくり。
矢吹可奈
詳しくはトンカツDJ…じゃなくて、コロッケアイドルのアニメか漫画を見てください。
矢吹可奈
こんなにたくさんのものをアゲ続けてきた私ですが…
矢吹可奈
まだあの日食べた、最高のコロッケに近づくことはできていません。
矢吹可奈
消費期限切れだったにもかかわらず、衣はサクサク、中はふんわりジューシー…
矢吹可奈
でも、それは素材や調理法が特別だったのではないと思っています。
矢吹可奈
やっぱり、料理に一番必要なものは…愛情だと思うんです。
矢吹可奈
作るだけなら料理も科学の実験も大差ありません。
矢吹可奈
でも、それを、生きるために、楽しむために食べるからこそ、料理は料理なんだと思います。
矢吹可奈
だから、愛情は不可欠ですよね、やっぱり。
矢吹可奈
…私と、あのコロッケの間には言葉では言い表せられない、大きな愛情がありました。
矢吹可奈
きっと、コロッケと愛し合った人なんて、世界でもそうはいないでしょう。森進一くらいかな
矢吹可奈
…あの時と、同じくらいの愛情を込めて、コロッケをあげることができれば
矢吹可奈
もしかしたら、もしかしたら、あの不思議なコロッケを作り出せるかもしれない。
矢吹可奈
ちょっと高飛車で、強がりで、嘘が下手で、気配り上手で、芯がしっかりしてて、人を惹きつける
矢吹可奈
…あの、千鶴さんのようなコロッケを。
矢吹可奈
――
矢吹可奈
あ、タネが切れちゃった
矢吹可奈
冷凍庫に作り置きが…
矢吹可奈
あれ?
矢吹可奈
なんだろ、このコロッケ。一つだけラップに包まれて…
矢吹可奈
私、こんなの作ったかな…?
矢吹可奈
…怪しい
矢吹可奈
怪しい…けど
矢吹可奈
いっちょ揚げてみますか!
矢吹可奈
ボコボコ唸れ〜、油風呂〜♪おとこ〜じゅくの〜名物だ〜♪
矢吹可奈
…よし、180℃!コロッケ投入!
矢吹可奈
…
矢吹可奈
…
矢吹可奈
千鶴さん。もし、またあなたに会えたら…お願いしたいことがあるんです
矢吹可奈
私、この10年、数え切れないほどのコロッケをあげてきました。完全に、あなたの影響です
矢吹可奈
空の星の数ほども、コロッケを練ってあげて食べました。でも
矢吹可奈
ちっとも嫌にはならなかったんです。ううん、むしろどんどんワクワクしてして来るんです
矢吹可奈
それはきっと、どんどんあなたに近づいていくのを感じるから…
矢吹可奈
だから、千鶴さん。お願いしたいことというのは…
矢吹可奈
私と一緒に、コロッケをあげてください!
矢吹可奈
毎日!
矢吹可奈
だから、まずは、フライパンから降りて、油をお風呂で落としてきてください。
矢吹可奈
私は油を温めて待ってますから。
矢吹可奈
おかえりなさい、千鶴さん
(台詞数: 50)