歌を忘れたカナリアは
BGM
オリジナル声になって
脚本家
nmcA
投稿日時
2016-08-07 09:53:55

脚本家コメント
ジャンルは……なんだろう?
ホラーを書きたかったんだけどなぁ
可奈Pの皆さまごめんなさい。
ところで、どうして可奈は可奈って名前なんでしょうかね?

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矢吹可奈
「また、一緒に歌いたかったな……」
矢吹可奈
動物病院からの帰り道、インコのけるちゃんが入った鳥かごを抱えて私は家路についていた。
矢吹可奈
「けるちゃん、私、一生懸命練習する!けるちゃんが歌えなくなった分もいっぱい練習するから!」
矢吹可奈
鳥かごを顔の高さまで上げて、けるちゃんと視線を合わせると、羽を広げて応えてくれた。
矢吹可奈
ふと、鳥かごの向こう側に黒い影が道路にうずくまっているのが目に入った
矢吹可奈
「おじいさん、大丈夫ですか?」
矢吹可奈
真っ黒なコートに身を包んだおじいさんが胸のあたりを抑えている。
矢吹可奈
『すまんが、水を持ってきてくれないか。薬さえ飲めばすぐに良くなるから』
矢吹可奈
「わかりました!けるちゃん!おじいさんを見ててね!」
矢吹可奈
私はけるちゃんを見張りにして近くのコンビニまで走った。
矢吹可奈
『……ふぅ、ありがとう。お嬢ちゃんのおかげで助かったよ』
矢吹可奈
「おじいさんが無事でよかったです!ね、けるちゃん?」
矢吹可奈
『気になっておったんじゃが、この子は全然鳴かないんじゃのぅ』
矢吹可奈
「けるちゃん、病気で鳴けなくなっちゃって……」
矢吹可奈
『じゃったら、ワシが何とかしてあげよう。この薬を説明書のとおりに飲ませてみなさい』
矢吹可奈
おじいさんは懐から瓶と紙を痩せ細った指で取り出した。
矢吹可奈
『この薬は秘密の薬でのぅ。人目につかないところで、そうじゃ、あの裏山で飲ませてあげてくれ』
矢吹可奈
おじいさんはそれだけ言うと、よろよろと歩きだして行ってしまった。
矢吹可奈
「ほんとうに効くのかな?」
矢吹可奈
裏山の小藪、柳の木の下にカゴを下ろし、水取り皿に薬を全て入れる。
矢吹可奈
「お願い……治って……」けるちゃんが二口三口薬を啄む。
矢吹可奈
『…ピッ……ピーー!…ピーピー!』
矢吹可奈
「やった……やったぁー!けるちゃん~けるちゃ~ん♪」『ピーピピーピー♪』
矢吹可奈
「えへへ~けへ……ちゃ……はれ?こへかぁはっ……はふ、へ……」
矢吹可奈
私は喉を抑えるが、口からはヒューヒューという音しか出ない。
矢吹可奈
(どうして?さっきまで声が出てたのに、そうだ!)
矢吹可奈
ポケットに突っ込んだくしゃくしゃの紙を広げる。
矢吹可奈
(薬を飲んだものの目の前の音を奪う薬……?けるちゃんの目の前にいたのは私で……っ!)
矢吹可奈
私はけるちゃんの水取り皿を取り出して、中の薬を口に流し込んだ。
矢吹可奈
空を見上げた。灰色の空に黒いカラスが舞っている。
矢吹可奈
(お願い……お願いっ……!)
矢吹可奈
喉を通った薬が私の身体を熱くする。目の前が暗くなり、草いきれが身体を包んだ。
矢吹可奈
……意識が戻る。手も足も違和感はあるが動くようだ。恐る恐る喉から音を絞り出そうとする。
矢吹可奈
(はぁ……どうしよう、病院で治してもらえるかな?ううん!きっと大丈夫!頑張れ可奈~♪)
矢吹可奈
私は、パッと目をあげて立ち上がった
矢吹可奈
私は、パッと目をあげて立ち上がった……つもりだった。
矢吹可奈
(はれ……?目の前にいるのは、私……?すごく大きい?)
矢吹可奈
毎日鏡で見る自分の顔が、私をじっと見つめていた。
矢吹可奈
『ありがとう、可奈ちゃん』
矢吹可奈
(私の声?いや、でも、目の前にいるのは私で、はれ?私は一体?……っ!?この身体は??)
矢吹可奈
羽毛に包まれた腕、硬い皮膚の脚、そして、柔軟に動きそうにない硬いクチバシ……
矢吹可奈
『可奈ちゃんのおかげで、歌声が戻っただけじゃなくて、綺麗な音階も手に入ったんだよ』
矢吹可奈
(そんな、けるちゃん……えっ、この薬!そんなっ!?)
矢吹可奈
『ちゃんと、説明書は最後まで読まないとダメだよ、可奈ちゃん。でも、しょうがないね』
矢吹可奈
『可奈ちゃん、私、一生懸命練習する!可奈ちゃんが歌えなくなった分もいっぱい練習するから!』
矢吹可奈
『じゃあね、可奈ちゃん、ううん、『けるちゃん』!』
矢吹可奈
『私』がすっくと立ちあがる。私はただ、くちばしをパクパクさせることしかできない。
矢吹可奈
『私』の口から歌が聞こえる。お母さんが教えてくれた、けるちゃんと一緒によく歌った歌だ。
矢吹可奈
『歌を忘れたカナリアは~後ろの山に棄てましょか~♪いえいえ それはかわいそう~♪』
矢吹可奈
……いつの日か私は、月夜の海に浮かべてもらえるのだろうか。

(台詞数: 50)