桜花集:17 巡詩
BGM
追憶のサンドグラス
脚本家
Կիշիրա
投稿日時
2016-04-29 01:39:31

脚本家コメント
皆で新生活を応援する感じの!ドラマを書く感じの!企画って感じです!
その名も「桜花集」
このドラマは17作目でござります。
ファンタジーです。
16作目 パクさん。面白かったですね!http://imas.greeーapps.net/app/index.php/short_story/info/uid/1000000000000006291/seq/634
18作目は相対性うどんさんでござる!楽しみ!
http://imas.greeーapps.net/app/index.php/short_story/info/uid/500000000000

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矢吹可奈
「いま〜わたしの〜♪」
矢吹可奈
その日の夜、あなたと二人で屋上に登った。
矢吹可奈
安全の為に閉ざされていた扉は、古くなってもう簡単に開けることができた。
矢吹可奈
きっと安全が無くなったから、この扉も役目を終えたのだろう。
矢吹可奈
「ねが〜いごとが〜♪」
矢吹可奈
足下に気をつけながら、二人でその景色を見渡した。
矢吹可奈
こんなに高いところから街を見渡すのは久しぶりで、私達は初めて、街の変化を知ってしまった。
矢吹可奈
きっとそれが見ていられなくなって、あなたは視線を空へ向けた。
矢吹可奈
あなたに促されて、私も上を見上げた。この街がこうなってからは、星がよく見えるようになった。
矢吹可奈
こんな時間にライトが必要ないのも、きっとそのせいだ。
矢吹可奈
「かな〜うならば〜♪」
矢吹可奈
「一戸建てが欲しい」
矢吹可奈
ツッコまれた。良かった、スルーされたらどうしようかと思った。
矢吹可奈
「3LDKKKの」
矢吹可奈
さらにツッコんでくれた。良かった、初めてのボケだったけど受け入れてくれた。
矢吹可奈
……
矢吹可奈
あの日から、私の世界は変わってしまった。色んなものを失くしてしまった。
矢吹可奈
だから、あなたが居てくれて本当に良かった。そのおかげで私は此処にいられるし……
矢吹可奈
これから二人で暮らしていけるとも、思っていた。
矢吹可奈
でも、変わってしまった世界で、変わらない歩き方をする事は出来なかった。
矢吹可奈
あなたが居たおかげで、前のままでいられた私を、世界はきっと許さなかった。
矢吹可奈
それからの毎日はずっと……
矢吹可奈
怖かったし、
矢吹可奈
痛かったし、
矢吹可奈
辛かったし、
矢吹可奈
苦しかった。
矢吹可奈
だからこれは、私達が長い時間をかけて話し合った結果だ。
矢吹可奈
もしかしたら違う結論もあるのかもしれない。でも、私達はもう、この世界に疲れていた。
矢吹可奈
方法は何でも良かった。でも、最後は私のわがままで、此処に着いて来てもらった。
矢吹可奈
昔にも、決まりを破りたいと言うだけで、此処にあなたを連れてきた事があった。
矢吹可奈
私は空を見上げるのを止めて、端まで歩いていった。あなたはいつものように、慌てて着いてくる。
矢吹可奈
下を覗き込むと、やっぱり昔とは程遠い姿をしていた。でも、相変わらず広くもあった。
矢吹可奈
自分は成長しているつもりだったが、やっぱり言うほど大きくなっていなかったのだ。
矢吹可奈
街の頂上で、二人並んだまましばらく過ぎた後、不意に手を握られた。
矢吹可奈
少しびっくりしたけど、震えてるのを感じて、強く握り返した。
矢吹可奈
目を瞑った。街は夜なのに静かで、そこら中で鳴る風の音だけがこだまする。
矢吹可奈
……今度があるなら、もう少し優しい世界がいいなぁ。まあ、この街も美しいというか、
矢吹可奈
綺麗だ、とあなたがつぶやいた。目を瞑って同意すると、そうじゃなくて、と言われて
矢吹可奈
あなたを見ると、あなたも私を見ていた。
矢吹可奈
……手を繋いだままで、もうしばらく昔の話をすることにした。
矢吹可奈
楽しかったこと、楽しくなかったこと、二人が好きなあの花びら……
矢吹可奈
「ねえあそこに見える木ってあれだよね!もう今年は全部散っちゃってるけど来年は……」
矢吹可奈
そこで、私はとんでもない事を口走ってしまった事に気づいた。
矢吹可奈
隣を見ると、あなたはとても苦しそうな、とても酷い顔をしていた。きっと私も同じだ。
矢吹可奈
全部考えたはずだった、全部話し終わったはずだった。だから此処にいるのに。
矢吹可奈
昔の約束を思い出した。昔の街を思い出した。
矢吹可奈
そんな事は決して起こりえない世界の中で、私達二人を決して許さない世界の中で。
矢吹可奈
来年の春を二人で向かえたいと思ってしまった。絶対に考えてはいけない事なのに……
矢吹可奈
生きたいと、
矢吹可奈
生きたいと、思ってしまった。

(台詞数: 50)