水瀬伊織
雨、止まないわね。ぽつぽつぽつぽつ鬱陶しいわよ。
如月千早
予報によればもうすぐ止むはずなんだけど…もっとはっきり降ってくれれば諦めもつくのにね。
萩原雪歩
あの、二人とも…ちょっといい?聞きたいことがあるんだけど。
水瀬伊織
いいわよ、どうせ暇だし。
萩原雪歩
アイドルって……なんなのかな?
如月千早
……
水瀬伊織
……誰かにつまらない事でも言われた?
萩原雪歩
……私たち、皆それぞれの理由でここに来たんだよね。伊織ちゃんも千早ちゃんも、私も…
萩原雪歩
でも、今はアイドルをしてる。皆誰かを笑顔にするために頑張ってるんだよね。
萩原雪歩
でもそれってもしかして実は私の我儘で、そんなこと私に望んでないって人もいたりして、それで…
如月千早
……それで?
萩原雪歩
あ、ごめんなさい。つまり私が頑張ってる事って、間違ってるのかな?
如月千早
いえ、責めてるわけじゃないの。…つまり、萩原さんはアイドルとして努力してるのよね?
如月千早
そしてその努力を萩原さんが意図しない形で受けとる人がいる…という所まではわかったのだけど。
如月千早
それがさっきの質問とどう関係があるのかしら?…ごめんなさい、理解力がなくて。
萩原雪歩
えっと、だから…もし私のした事がしたかった事じゃなかったら、それはもうアイドルじゃなくて…
如月千早
……?
水瀬伊織
あー、もう!全然話が噛み合って無いじゃない!千早、しばらく黙って聞いてて。
水瀬伊織
えーと、何があったかはもう聞かないけど、千早の反応も自然だと思うわよ。
水瀬伊織
誰に何を思われようと、雪歩の好きなようにすればいいじゃない。
水瀬伊織
というより、今のままの雪歩の事を気に入ってくれてるファンがいっぱいいるんだから。
萩原雪歩
伊織ちゃんは、アイドルとしての自分をどんな風に見て欲しいと思ってる?
水瀬伊織
つまんない質問しないでよ、ファンは勿論スペシャルプリティな伊織ちゃんとして見てるはずよ。
萩原雪歩
……本当にそう思ってる?
水瀬伊織
……雪歩、何が言いたいのかあたしにもわからなくなって来たんだけど。
萩原雪歩
その気持ちだけで、伊織ちゃんはアイドルにとして見られる事が出来るの?
如月千早
萩原さん、ちょっといいかしら。
水瀬伊織
あーもう!ややこしくなるからもう少し黙ってなさいよ。
如月千早
萩原さん、その質問を萩原さんが気に入るように答えたとして、それで何が変わるのかしら?
水瀬伊織
だから!
如月千早
私たちに不満をぶつけて気がすむなら別にいいのだけど、あなたはそんな人じゃないはずよね。
如月千早
萩原さん、一体誰のために何を考えてるの?本当に聞きたいことはなんなの?
水瀬伊織
……まったく、何か言うにしてももう少し言い方って物があるでしょうに。
水瀬伊織
雪歩、もしかして…悩んでるのは自分の事じゃないの?
萩原雪歩
……そうだとしても悩んでるのは私なんだから、やっぱり私のことで…………あ。
萩原雪歩
ごめんね、さっきから意味わかんないことばっかり言って…やっぱり八つ当たりしたかったのかも…
萩原雪歩
でもね、千早ちゃん、伊織ちゃん!私、事務所に入って、皆と会えて本当に良かったと思ってるよ!
萩原雪歩
それは絶対嘘じゃないし、誰にも変えようが無いから!
水瀬伊織
雪歩、あなた本当に大丈夫?
如月千早
……三人とも、お互いに見えてない事があるみたいね。
萩原雪歩
うん……
水瀬伊織
こうなったら……癪だけどあいつに、あたし達のプロデューサーに聞くしかないわね。
萩原雪歩
……うん。ごめん、ごめんね。
水瀬伊織
あーもうやめやめ!何よこのじめじめ空間!あいつが来るまでこの話は保留!
如月千早
……プロデューサー、もう少ししたら帰ってくるはずだから。
水瀬伊織
まったく、早くしてほしいわよ!気分転換に誰か楽しい話でもしてくれない?
萩原雪歩
…………
如月千早
………………
水瀬伊織
……
水瀬伊織
雨、止まないわね。
(台詞数: 50)