矢吹可奈
先生、犯人は無事に連行されていきましたよ。
横山奈緒
自分がやったって言っとった?
矢吹可奈
えーと、先生に真相を暴かれてから連れていかれるまでずっと否認してましたけど。
横山奈緒
……やっぱり。
矢吹可奈
でも良かったじゃないですか。あの人、今回の事件以外にもたくさん悪いことしてたんですよね!
横山奈緒
……ここの女王さんとは色々あってな、こうして時々パーティーに呼ばれんねん。
横山奈緒
今日は特別なゲストが来る言うから助手の可奈も連れてきたわいいけど……。
横山奈緒
そのゲストってのがまさか稀代の大悪党やったとは、世間は狭いというか……。
矢吹可奈
ちなみに、あの人どういう風に悪い人なんですか?先生がずっと言ってるからそうなんでしょうけど
横山奈緒
え、うそ?何回言わなあかんの?あの男はな、えーと、可奈に分かりやすいように言うと……
横山奈緒
売ったあかんもんを売って儲けてる癖に証拠がないから捕まえられへんかった奴やねん。
矢吹可奈
そ、そこまで噛み砕かなくてもわかりますよぅ……でも今回の大臣さん殺害で……
横山奈緒
そう、今まで何のしっぽも出さんかった男がな。不自然過ぎるやろ。
矢吹可奈
確かに、大臣さんは病気でずっとお部屋に隠ってたし、そこは完全な密室!
矢吹可奈
でも、犯人が凶器をそのまま持ち歩いてたもんだから、先生によってすぐに御用!流石!
横山奈緒
だから不自然やろ?
矢吹可奈
何がですか?
横山奈緒
全部や。あの男が大臣を殺す理由なんて何もないし、そのまま凶器を持っとくアホなんておらんし。
横山奈緒
何より……
矢吹可奈
何より?
横山奈緒
私はな、どうにかしてあの男にいちゃもんつけて警察さん連れてく気やってん。
横山奈緒
だからあいつから一瞬も目を離してない。意味わかるか?
矢吹可奈
え……と、つまり……あの人は大臣の部屋には行ってないってこと?
横山奈緒
そう、トイレにさえ行ってない。そんな奴がどうやって人を殺すねんって。
矢吹可奈
もしかして、犯人じゃないって事ですか!じゃあなんでそう言わなかったんですか?
横山奈緒
……さっきも言うたやろ。あの男を捕まるチャンスなんて、他にないんや。
横山奈緒
この事件に関わってない事が明らかになったところで、その他色々の罪が追及される。
横山奈緒
何でも良かってん。容疑をかけられればこっちのもんや。
矢吹可奈
な、なるほど!なんだか大人な駆け引きですね!でも、それならやっぱり万事解決じゃ……
横山奈緒
そんなわけ無いやろ。大臣は凶器で……まあナイフやけど、確実に刺されててん。
横山奈緒
刺した奴が他にいるって事や。
矢吹可奈
な、なるほど!
矢吹可奈
あれ、でもそれなら自殺って事もあり得るんじゃ……
横山奈緒
それの方が不自然やって、大臣は背中を刺されてたんやからな。
矢吹可奈
あー……
横山奈緒
可奈、一回大臣さんにお見舞いに行く言うてたけど、その時はまだ元気やってんやろ?
矢吹可奈
はい、元気というか病気でしたけど。無傷でしたよ。ゴホゴホしてましたけど。
横山奈緒
……そう、そうか。
矢吹可奈
あの、さっきから歯切れ悪いですけどどうしたんですか?先生もトイレ行ってないんじゃ……
横山奈緒
なあ、可奈。護身用にって持ってたナイフ、今見せてくれる?
横山奈緒
私の記憶が正しければ、あの男が持っとったんとそっくりやねんけど。
矢吹可奈
さ……
矢吹可奈
さ……流石ですね先生!やっぱり隠し事は出来ないです!
横山奈緒
……てことは、あんたが大臣を?
矢吹可奈
ちょ、ちょっと!銃なんかしまってくださいよ!そうだけどそうじゃないです!
矢吹可奈
私がお見舞いに行った時には、既に息はありませんでした。結構深刻な病気だったようで。
矢吹可奈
私びっくりして!でも、そこで思いついたんです!あの人を捕まえる方法!
矢吹可奈
部屋で大臣に色々して、それで後はあの人にぶつかるふりしてナイフをポケットに……
横山奈緒
あー、もうええもうええ。ただの子どもや思ってたけど、大層な拾いもんやったかなぁ?
矢吹可奈
私、今回の先生の推理は忘れません!真実より大切な事があるんですよね?私もそう思います!!!
(台詞数: 50)