萩原雪歩
はあ……とうとうエイプリルフールですぅ……今年も嘘という悪意が事務所を渦巻く悪夢の日が…
萩原雪歩
いや、でもエイプリルフールさんも悪気がある訳じゃないし……私も嘘の一つくらいつかないと!
萩原雪歩
手始めに今事務所に居る子だけでも騙くらかしてみせますぅ!えーと、誰がいるのかなあ?
如月千早
………………
萩原雪歩
……あの顔の千早ちゃんを騙すなんていきなりハードすぎるよぅ……でも初志は貫かないとだし……
萩原雪歩
ち、千早ちゃん!何か困ってる?粗茶だけど飲んで!
如月千早
あ、ありがとう萩原さん。……いつも通り美味しいわ。でも……
如月千早
萩原さん、もしかして今の「精根込めて淹れたお茶を粗茶と言って出す」っていう嘘だったり?
萩原雪歩
え、えー!いやそんな分かりにくい嘘つく筈ないよ!勘繰りすぎですぅ!
萩原雪歩
(嘘に嘘を重ねてしまいました……清純派アイドルなんて呼んでもらえた萩原はいなくなりました)
萩原雪歩
あ、それより千早ちゃん何か困ってたの?私でも話を聞くぐらいなら出来ますぅ!
如月千早
いえ、大丈夫よ。困ってたんじゃなく悩んでただけだから。どうせ結果が同じらなら無駄なだけよ。
萩原雪歩
千早ちゃんってそういう所は昔から変わらないよね……
如月千早
あー、そうそう。エイプリルフールのことで悩んでたのよ。今日は嘘が許される日だそうだけど……
如月千早
世界に嘘がない日なんて無いのだから。こんな日、成り立たないと思うのだけど……
萩原雪歩
……千早ちゃん、「白い絵の具の矛盾」って知ってる?
如月千早
……ごめんなさい、不勉強で……
萩原雪歩
白い画用紙に絵を描くとき、画用紙と同じ色の白は必要なのか考えてしまうこと、ない?
萩原雪歩
他の絵の具が無くなっていき、一人だけ新しい白の絵の具…全部の色が無くなるまで、気づかれない
萩原雪歩
ふふ、私の担当色も白だから…絵の具の気持ち、よくわかるんですぅ。
萩原雪歩
得意なことやそれぞれの魅力を持つ皆の中で…何も描かれていない私がいる……そんな感覚。
如月千早
……萩原さん、もし本気でそんな事を言ってるなら私でも怒るわよ?
如月千早
萩原さんは誰よりも優しいし強い、それに皆を心から笑顔にしてるじゃない。
如月千早
……それに、こんな美味しいお茶を淹れられる人に魅力が無いわけないじゃない……
萩原雪歩
……白い絵の具、無音という音、空気の味、心の場所…………ぜーんぶ何処かにちゃんとあります。
萩原雪歩
私は何も描かれていないわけじゃない。白という私がずっと居る……ちゃんとわかってますぅ。
如月千早
……じゃあさっきは何故自分を卑下するような事を?…もしかしてそれもエイプリルフールかしら。
萩原雪歩
白はね、その人を映す鏡なんだ…だから……だから、さっき千早ちゃんが私に言ってくれた事は……
萩原雪歩
全部千早ちゃんが知ってる、千早ちゃんの良いところなんだよ。
如月千早
………………
萩原雪歩
嘘を重ねていくと、ちゃんと本当の事が見えてくるはずなんだ。とても気づきにくいけど……
萩原雪歩
今日は、嘘の雨の中でほんの少しだけほんとに近づける日なんだよ。
萩原雪歩
……でも嬉しかったですぅ♪千早ちゃんが私をあんなに想ってくれてたなんて。
如月千早
あ、それはあれよ……そうそう、それこそエイプリルフール……みたいな。
萩原雪歩
うん、そういう使い方も良いと思うよ。ほんとの事はちゃんとわかってるから……
如月千早
……何だか今日の萩原さんは賢くみえちゃうわね。
萩原雪歩
私が賢くみえるのは千早ちゃんが賢いからですぅ。ほんとは千早ちゃんは自分の魅力を知ってるの。
萩原雪歩
それを頑張って隠してるんだよ。自分に厳しくしてる分、嘘に甘えちゃってるんだよ。
萩原雪歩
甘えるならプロデューサーに甘えればいいのに。
如月千早
……随分、わかったような事を言うのね。
萩原雪歩
うん、私がそうだから。
如月千早
………………
萩原雪歩
あ、実はね千早ちゃん、さっきの「白い絵の具の矛盾」だっけ?…あれ私が勝手に作った言葉なの。
如月千早
え、そこから嘘だったの?意外と嘘が巧みなのね、萩原さん。
萩原雪歩
えへへ、テーマカラーは白なのにちょっと黒いこと言っちゃったかな?……でもね。
萩原雪歩
千早ちゃんを助けるためなら、どんなに真っ黒に染まっても、嘘つきでいます。
如月千早
……萩原さん、それは嘘に甘えていることにならないのかしら?
萩原雪歩
さっきも言った通り白は人を映す鏡だから、千早ちゃんが私の事を白といってくれるなら白ですぅ。
萩原雪歩
だから、千早ちゃん……あと2日……しっかり考えて自分にも相手にも嘘つかないように、頑張ろ!
如月千早
……………………
(台詞数: 50)