Stratosphere:18
BGM
ハルカナミライ
脚本家
concentration
投稿日時
2017-02-09 03:50:58

脚本家コメント
またまた読みづらくてスミマセンヌ。
Szanne Vega 「Bad Wisdom」

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横山奈緒
その『壁』は巨大で、あまりに巨大で、すぐ側に居ると、
横山奈緒
地平線とは垂直に延びていくものだったろうかと、錯覚させられる程に巨大だった。
横山奈緒
弱々しく壁にへばり付いた階段は、錆びて朽ちかけ、今にも崩れ落ちそうに
横山奈緒
強風に煽られ、ギシギシと悲鳴を上げる。
横山奈緒
延々と続く天国への階段を、もう半刻も昇り続けている。
横山奈緒
鉛の様に重い筈の脚は、休む事無く、上へ上へと誘う。
横山奈緒
眼下の難民街の建屋が、巨獸に群がる虱程になる頃、漸く終点に辿り着く。
横山奈緒
遮る物の無い頂を、吹き荒ぶ強風の中、彼女は一人、立っていた。
横山奈緒
風にはためく見事な長髪は、西日のオレンジを纏い煌めき、
横山奈緒
しかし体は微動だにせず、あたかも黄金の彫刻の様で、
横山奈緒
あたかも彼女の空間だけ、時間が止まっているかの様で、
横山奈緒
時間が、終わっているかの様で
二階堂千鶴
【たいへん なつかしうございます たいせつな わたしの ともだちよ】
横山奈緒
旧交を温めるには、ここは些か殺風景過ぎる。
二階堂千鶴
【わたしの かわいい いもうとは ちゃあんと いうことを きいていますか】
横山奈緒
いつも皆に『妹を甘やかすな』と言っている彼女自身が、
二階堂千鶴
【あの きたいは ちゃあんと あのこの やくに たって いるのでしょうか】
横山奈緒
一番甘やかしている事に、全く自覚が無い。
横山奈緒
あの子はちゃんと食事を採っているかとか、しっかり休養もしているかとか、おかんそのものだ。
二階堂千鶴
「あの子『達』は……………」
二階堂千鶴
「ちゃんと仲良くやっているのでしょうか。」
横山奈緒
「まあ、『喧嘩するほど仲良きかな』言うやろ。」
二階堂千鶴
「全く、あの子はクールな振りして実状いつまでも子供みたいに……」
横山奈緒
「心配あらへんて。なんせ元は、二人で…………」
横山奈緒
彼女の視線の先、壁の内側を、つられて一瞥する。
横山奈緒
嘗て≪塔≫が建てられた時には、『世界の中枢』と呼ばれていた其処には、
横山奈緒
暗く、黒く、漆黒の、
横山奈緒
巨大な穴が、地の底まで続いていた。
二階堂千鶴
【おひめさまを とじこめた とう は】
二階堂千鶴
【おおきな じひびきを たてて そらへと とんで いきました】
二階堂千鶴
【ばちあたりな とう を つくった にんげんに はらをたてた かみさまが】
二階堂千鶴
【にんげんたちから とう を とりあげて しまったのです】

(台詞数: 32)