如月千早
………………はぁ。
萩原雪歩
あ、あの……如月…さん。
如月千早
萩原さん…千早で良いと言ったでしょう。別に私に遠慮する必要は無いわ。
萩原雪歩
あ、うん。千早さん…あのね?
如月千早
確かにこの前は必要以上になれ合う事は無いと言ったけど、息苦しいでしょ。呼び捨てでいいわ。
萩原雪歩
(うう……お互い様だよぅ……)ち、千早……氏?
如月千早
……まあ何でもいいけど。どうせ今は二人しか居ないしね。何か用かしら?
萩原雪歩
(なんらかの敬称をつけないと畏れ多いよぅ……)…ため息ついてたから…何か困ってるの?
如月千早
……ごめんなさい、人前でため息なんかついて。でも話す様なことでは無いから…
萩原雪歩
あ…あの、千早殿…私お仕事が上手くいかない時いっぱいあってね、私だめだめだから。
萩原雪歩
でもその度に春香ちゃんや真ちゃんとか皆に励ましてもらってるの…とっても嬉しいよ?
如月千早
だから私の事も励まそうと?……萩原さん、気持ちはありがたいけど…
萩原雪歩
きいて千早ちゃん!でもその度に思うんだ、皆何でこんなに優しいのかな、迷惑だと思わないのかな
萩原雪歩
あの、だから多分、私今の千早ちゃんの気持ち凄くわかるんだ…多分私と同じこと思って…
萩原雪歩
あ!ごめんなさい!千早ちゃんと私を勝手に一緒にしちゃって……
萩原雪歩
ああ!!そんなことよりさっきから千早ちゃんなんて呼んじゃって……穴掘って埋まってますぅ!!
如月千早
萩原さん、ここで掘削しては他の人に迷惑よ。
萩原雪歩
(紛れもなく正論だよぅ……)
如月千早
萩原さん、何か勘違いしてるみたいだけど…誰も迷惑だと思うなら励ましたりしないんじゃないの?
如月千早
それだけ周りが萩原さんに優しくしてくれるのは、萩原さんに魅力があるからでしょ?
萩原雪歩
え……私に魅力なんてそんな…それなら千早ちゃんの方が可愛いし歌上手だし…
如月千早
……さっき萩原さんのレコーディングを聴いて思ったの。声に萩原さんと言う魅力が乗っていた
如月千早
あの歌は萩原さんが歌うことによって完成されたの。あんな歌…私には歌えない……
如月千早
だから私には萩原さんが自分の能力から逃げているようにしか見えないのだけど。
萩原雪歩
そんなことないよ!千早ちゃんの歌だって千早ちゃんにしか歌えない!私なんかよりずっと…
如月千早
……もう一度だけ言うわね。自分の才能や実力から逃げないで、もし私の願いを聞いてくれるならね
萩原雪歩
(千早ちゃん……それ全部千早ちゃんに言いたいことだよ)
萩原雪歩
……千早ちゃんは、そんなに優しい言葉が言えるのに……なんで……
萩原雪歩
何でそれを自分に言ってあげないの?
如月千早
(萩原さんに優しい言葉なんてかけたことあったかしら?)もうそろそろ時間だから行くわね。
如月千早
萩原さん…変な嫉妬で迷惑かけて悪かったわ。お詫びに何か私に出来ることあるかしら?
萩原雪歩
(考え方が戦国時代だよぅ……でも歌を教えてもらえたら……だめだめ!それは迷惑だよね、なら)
萩原雪歩
お詫びなんて別にいいよ。千早ちゃんが納得のいくレコーディング出来たらそれで私は嬉しくて
如月千早
……そうね、私に出来ることなんて歌しかないわよね…つまらない事訊いてごめんなさい。
萩原雪歩
(最早思考回路がそこそこ格式の高い武士のそれだよぅ…)
如月千早
行ってくるわ…話してくれてありがとう。
萩原雪歩
あ、うん。いってらっしゃい……
萩原雪歩
……ありがとうって言うのは私の方なのにな…私の魅力か…そう言えば春香ちゃん達もそう言って…
萩原雪歩
私も今の千早ちゃんみたいに皆の優しい言葉が聞こえなくなってたのかな?
萩原雪歩
千早ちゃん…私を誉めてくれてたん…だよね?そっか…あの千早ちゃんが私なんかを……
萩原雪歩
うふふ…今日はいい日かもしれないな。美希ちゃんに自慢しちゃおう……あ、歌始まっ……
萩原雪歩
……千早ちゃん…凄い…さっきまでと全然違う。やっぱり上手いなぁ…私とは大違いだな…
萩原雪歩
うん…こんな優しい歌が歌える千早ちゃんが優しくないはずないよね!
萩原雪歩
……この歌、皆の耳に届く前に聴いてるんだ…今千早ちゃんを知ってるのはここにいる人たちだけ…
萩原雪歩
……なら、もしこの歌が誰にも聴かれなかったら、千早ちゃんの優しさに誰も気づかないのかな?
萩原雪歩
…………千早ちゃん自身も……
萩原雪歩
あ、終わった。…そんなに長いあいだ考え込んでたんだ。
如月千早
…萩原さん、まだ居たの?そっちはもう終わったんじゃないの?
萩原雪歩
千早ちゃん!!私、千早ちゃんの歌聴いたよ!ちゃんと全部聴いたから!!
如月千早
……………………………………そう。
(台詞数: 50)