横山奈緒
な、なんでやぁ～! なんで今からプロデューサーさん、帰ってくんねん～!
横山奈緒
今日は私の誕生日やったけど、大事なお仕事あって来れんていうてたのに～
横山奈緒
切ないけど、事務所の皆でお祝いパーティーしてくれるっていうから、それならそれで
横山奈緒
思いっきりはっちゃけて楽しむで～! て騒いでたら服にコーラこぼしてまうし……
横山奈緒
後で帰れる格好のやつに着替えよ～って、これ着たら「今から戻る」てメール来るし!
横山奈緒
なんかようわからんけど、みんな気ぃ利かせて片付けして帰るし!
横山奈緒
春香も美希も「二人っきりだね、頑張って♪」「今日だけは譲ってあげるの」とかいいよって……
横山奈緒
あいつらホンマ……はぁあぁあぁぁ～! なんでやぁ～なんでステージ衣装以外これしかないん～?
横山奈緒
くそう……
横山奈緒
(……でもチャンスや。これは千載一遇のチャンスやで。横山奈緒)
横山奈緒
(実はこんなこともあろうかと、二日早めのバレンタインチョコをバッグに用意してあるんや)
横山奈緒
(ホンマは祝われる側の私やけど、プロデューサーさんに逆サプライズでチョコを渡す)
横山奈緒
(何故なら本番の14日は私、仕事やねん。これは神様が与えてくれたチャンスなのかもしれん)
横山奈緒
一年間、本っ当にお世話になった特大の感謝の気持ちを、誰よりも早くプロデューサーさんに――
横山奈緒
《ぐぅ～っ》
横山奈緒
くすっ、えぇ～?
横山奈緒
んもう、私のお腹はデリカシーないなぁ。まったく。
横山奈緒
ふふ、おかげでいい具合に気が抜けたわ……来るって言うたわりにプロデューサーさん遅いし。
横山奈緒
プロデューサーさんのプレゼント差し入れや言うてた「やまちょんのたこ焼き」食べよかな。
横山奈緒
ホントは二人で一緒に食べたかったけど……いただきまーす♪
横山奈緒
はぁ～あ♪ 美味しい～やっぱここのやつ持ってくるってプロデューサーさんわかって……
横山奈緒
ん? 皿の底に……「奈緒」って……
横山奈緒
パクパクハムハムモグモグッ!
横山奈緒
「奈緒 二日後、温泉の仕事決まった。一緒に行くぞ」
横山奈緒
え……
横山奈緒
嘘……
横山奈緒
(え、何これ!? プロデューサーさんとバレンタインデーに二人でお仕事……しかも温泉!?)
横山奈緒
(あわわわ……何!? 何これ、何!? 嘘? ほっ、本当の話? でも何で皿の下に……)
横山奈緒
(アカンっ。なんやようわからんけど、めちゃめちゃ嬉しい……!)
横山奈緒
(手ぇ震える……涙落ちそう……いや! いやいやいやっ! アカンって、泣いたらアカンっ!)
横山奈緒
(この後、プロデューサー来るんよ!? 不意のサプライズに感激してる場合ちゃうって)
横山奈緒
(でも……でも私、こんなことされたら私……!)
横山奈緒
うわぁあっ! アカンっ!
横山奈緒
うわあっ! アカンっ! 私、プロデューサーさんのこと好き過ぎて、おかしなってしまうぅっ!!
横山奈緒
《ガタンッ!》ひぇっ、ぷ……
横山奈緒
《ガタンッ!》ひぇっ、ぷ……プロデューサーさん。いつから、そこに……
横山奈緒
う、うぅ
横山奈緒
…………
横山奈緒
ふぅわぁああぁあぁああぁっぁぁ～～っ
横山奈緒
耳の先まで顔を真っ赤にした奈緒は、もたれかかるようにプロデューサーへ抱きついた。
横山奈緒
「何で～? 何でそこにおるん～?」とでも言いたげな涙目の奈緒を前にPは固まる。
横山奈緒
その格好はまるで、襲いかかってみたものの食べ方を知らない子虎のような妙な姿であり、
横山奈緒
胸もとにしがみつく彼女とお互いの顔がとても近いことを感じたPはそのまま奈緒の――
(台詞数: 43)