二階堂千鶴
♪そうすればとにかく少しは気がおさまるの~♪と。あら社長、お疲れ様ですわ。
高木社長
おや二階堂君、ご機嫌だね。
二階堂千鶴
ええ、次回の舞台はわたくしがメインですもの。張り切って参りますわ。
高木社長
頑張ってくれたまえ。しかしコンセプトがテクノポップか。キミにぴったりだね。
二階堂千鶴
そうなんですの?正直、テクノポップがどういうものなのか、今ひとつ掴めていないのですが…
高木社長
なるほど。まあキミくらいの年代ならあまり知らないのも無理はないかな。
高木社長
テクノポップというのは80年代に流行した音楽のジャンルだ。これ位は知ってるだろう?
二階堂千鶴
ええ、なんとなくですが。コロちゃんが好きそうな世界観のようですわ。
高木社長
そうだね。シンセやリズムボックスを使った音楽とカラフルな世界観に特徴がある。
高木社長
しかしシンセサイザーが普及し、様々な音楽にも用いられるようになった結果、
高木社長
ブームは終了。流行のきっかけとなったグループも次々と解散、いまや過去の分野となった。
二階堂千鶴
盛者必衰。世知辛い話ですわね。
高木社長
しかし、テクノポップブームは音楽というものの在り方を大きく変えた、それは事実だ。
二階堂千鶴
それは、どのような?
高木社長
長い間、音楽を人前で演奏出来るのはたゆまぬ努力と才能を持った人間だけだと思われていた。
高木社長
苦労して秘伝を身につけた特別な人間だけが人前で演奏出来る、という選民意識があったのだよ。
高木社長
しかし、シンセサイザーの誕生によりそうした権威主義は終わりを告げる。
高木社長
知識と操作方法さえあれば、楽器を扱えなくても音楽を作れるという時代が訪れたのだ。
高木社長
その証拠にブームを支えたバンドはいずれも楽器経験の無い人間ばかりだったのだよ。
二階堂千鶴
そうなんですの?
高木社長
ああ。劇団、作家、スタイリスト。ファンをそのままメンバーにしたグループもある。
高木社長
音楽を表現する為に条件や権威は必要無い。やり方次第でいくらでも色んな表現が出来る。
高木社長
テクノポップブームの先駆者達はそうした事を体現してみせたのだよ。
二階堂千鶴
なんとも…それは、華麗ですわね。創意工夫の妙、でしょうか。
高木社長
私はキミ達アイドルも、そうした存在だと思っているよ?
高木社長
技術や知識を身に付けた権威ある特別な人間ではない、どこにでもいる当たり前の女性。
高木社長
そんな人間の歌やダンスでも、やり方次第で多くの人が感動する。そうだろう?
二階堂千鶴
そうかもですわね。ですが、セレブたる以上実力も持ち合わせていくつもりですわよ?
高木社長
頼もしい。キミはこの企画にピッタリかもだね、やりようによってセレブに見せるという…
二階堂千鶴
ちょっと!?どういう意味ですの、わたくしは正真正銘…
高木社長
はは、これは失礼。まあキミ達もテクノのような、型にとらわれない活躍をしてくれたまえよ?
(台詞数: 31)