今日はなんて素敵な日
BGM
ココロがかえる場所
脚本家
遠江守(えんしゅう)P
投稿日時
2016-10-21 23:03:17

脚本家コメント
千鶴さん誕生日ドラマです。

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二階堂千鶴
たくさんの「おめでとう」をいただいて。
二階堂千鶴
たくさんの「ありがとう」をお返しして。
二階堂千鶴
今日はなんて素敵な日…。
二階堂千鶴
胸がいっぱいのまま、バースデーライブを終えたときには、夜もすっかり更けていました。
二階堂千鶴
帰り支度を整えて外に出ると、冷えを感じる秋風が、すっと身を撫でていきます。
二階堂千鶴
…これは、家に戻るころには、日付が変わっていますわね。
二階堂千鶴
あらかじめそうと言ってあるとはいえ、その事実にちくりと心が痛みます。
二階堂千鶴
どれだけ遅くなっても、待っているのでしょうね…。
二階堂千鶴
そう思うと居ても立ってもいられず、運良くタクシーでも拾えればと思っていた矢先。
二階堂千鶴
それは、わたくしを呼ぶ声。耳に慣れた、あの方の。プロデューサーの声でした。
二階堂千鶴
声を追って、向かった先には。
二階堂千鶴
黒塗りの車と、白帽と白手袋が夜闇にも鮮やかな運転手。
二階堂千鶴
そして、その傍らに立って、後部座席のドアを開く、あの方の姿がありました。
二階堂千鶴
戸惑うわたくしを、どうぞ、と車内に優しく導いて。
二階堂千鶴
『いい誕生日になりますように』と、一言。
二階堂千鶴
…まったく、かないませんわね。
二階堂千鶴
わたくしをよく見ていてくださるのは嬉しいですが、これでは…。
二階堂千鶴
もう色々な想いで胸がいっぱいなのに、さらに熱いものがこみあげてきて…。
二階堂千鶴
肩口に顔を近づけて、お礼を申し上げて。そして、二人の秘密となる言葉を二、三ばかり。
二階堂千鶴
…その名残を断ち切るようにドアを閉じ、車を出すようにと頼みました。
二階堂千鶴
動き出した車は、夜景を軽快に押し流しながら、進んでいきます。
二階堂千鶴
そして、今日のあれこれを考えていれば、長い道のりもあっという間に過ぎてしまいました。
二階堂千鶴
ここで、と車を停め、丁重に運転手さんにお礼を申し上げて、車を降りて。
二階堂千鶴
目の前には、暗さを増していく街並みに逆らうように、明々と照らす灯がありました。
二階堂千鶴
それは、いつまでもわたくしを待ち続けてくれる、優しくて温かな灯でした。
二階堂千鶴
「ただいま」
二階堂千鶴
ドアを開ければ、驚いた顔で、それでもすぐに笑顔になって私を迎えてくれて。
二階堂千鶴
もういっぱいいっぱいのこの胸が、また温かいもので満たされていく。
二階堂千鶴
こうやって、一日の最後を、最愛の人たちと過ごすことができるなんて。
二階堂千鶴
…今日はなんて素敵な日。

(台詞数: 30)