コロッケ・ラプソディー
BGM
月のほとりで
脚本家
nmcA
投稿日時
2016-07-19 00:31:44

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二階堂千鶴
この季節は、日が昇るのが早いので助かります。
二階堂千鶴
髪をまとめ、調理場に入ります。誰もいない調理場は夏とはいえ、ヒンヤリとしています。
二階堂千鶴
エプロンを付けて、手を洗いましょう。念入りに指の間、爪の隙間まで。
二階堂千鶴
持ってきた新鮮なタオルで手を拭き、一つ息を吐いて気合を入れます。
二階堂千鶴
段ボールからジャガイモを取り出します。もちろん泥付きです。
二階堂千鶴
素手で触るのだから、先に手を洗うのは二度手間だと言う人がいるかもしれません。
二階堂千鶴
特に千早や律子は言いそうな気がします。でも、先に手を洗うのは私なりの儀式なんです。
二階堂千鶴
ジャガイモをシンクに転がして、一つ一つ丁寧に泥を落とします。
二階堂千鶴
洗ったジャガイモは皿に並べてふんわりとラップで包み、電子レンジで温めます。
二階堂千鶴
手抜きのように見えるでしょうけど、一からお湯を温めていてはガス代がもったいないです。
二階堂千鶴
きっと、やよいやひなたなら、この考え方に賛同してくれるでしょうね。
二階堂千鶴
温まったら、ホカホカのジャガイモの皮を剥きましょう。
二階堂千鶴
百合子と杏奈に粉吹き芋を教えたときは、二人とも恐る恐るジャガイモを触っていましたね。
二階堂千鶴
剥き終わったジャガイモはボウルに移して、すりこ木で潰します。
二階堂千鶴
美也がこの作業が楽しいと言っていたことを思い出します。あの子も料理が上手なんですよね
二階堂千鶴
ジャガイモはしばし、冷やしておくとして、その間に玉ねぎをみじん切りにしてしまいましょう。
二階堂千鶴
そういえば、桃子と育にハンバーグを教えたとき、二人はみじん切りに苦労していました。
二階堂千鶴
数をこなせば、慣れてくるでしょうけど、二人ともちゃんと練習しているのでしょうか。
二階堂千鶴
……と、考え事をしている間にみじん切りは終わりです。
二階堂千鶴
フライパンにバターを敷いて、先ほどみじん切りにした玉ねぎを炒めます。
二階堂千鶴
いつかのキャンプの時はジュリアと歩が玉ねぎを焦がしていましたね。
二階堂千鶴
カレーだったから良かったものの、他の料理だったら目も当てられなかったでしょう……
二階堂千鶴
玉ねぎがしんなりしてきたら、低温解凍しておいた牛ひき肉を投入し、塩コショウを振ります。
二階堂千鶴
火が通ったら、充分に冷ましたジャガイモに炒めた玉ねぎとひき肉を投入します。
二階堂千鶴
ジャガイモの香りとバターの香りがたまりません!可憐なら匂いを嗅いだだけで卒倒するでしょう。
二階堂千鶴
香りを堪能しつつ、しっかりと混ぜたなら、手で小判状にしていきます。
二階堂千鶴
茜やコロちゃんは変な形にしようとするんでしょうけど、揚げれば、詳細な形は崩れてしまいます。
二階堂千鶴
ふぅ、すべてのタネが出来ました。
二階堂千鶴
出来たタネに小麦粉をまぶし、溶き卵とパン粉を付けます。
二階堂千鶴
環はこの作業がきっと好きに違いないでしょう。今度、教えてみましょうか。
二階堂千鶴
さあ、揚げていきましょう。油の温度は170℃。一つずつゆっくりと油へ入れていきます。
二階堂千鶴
このあたりのコツは、莉緒、このみさんにも伝授すると喜んでもらえそうですね。
二階堂千鶴
揚がったそばから、バッドへ。最初の一つを菜箸で割り、火の通りを確認してから口へと運びます。
二階堂千鶴
フフッ……思わず笑みがこぼれます。
二階堂千鶴
時計を見ると、八時を回っています。冷ましている間に出かける準備をしなくては。
二階堂千鶴
そうだ、口上を練習しておきましょう。ゴホンゲホン
二階堂千鶴
「今日は、あずさの誕生日パーティ。うちから最上級のコロッケをお持ちしましたわ」
二階堂千鶴
「皆との思い出が込められております。ぜひ、召し上がれ」

(台詞数: 38)