二階堂千鶴
【ザ ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ】
二階堂千鶴
【バ シ ャ バ シ ャ バ シ ャ】
二階堂千鶴
「はぁ、はぁ、はぁ………」
二階堂千鶴
「はぁ、…ゴホッ、ゲホゲホ……」
二階堂千鶴
「ゴホ……ゼェ、ゼェ……」
二階堂千鶴
夕闇が過ぎ、
二階堂千鶴
夜闇の曇天から降りしきる雨が、
二階堂千鶴
二階堂千鶴の身に、容赦なく打ちつける。
二階堂千鶴
息は切れ、
二階堂千鶴
脚は震え、
二階堂千鶴
身は凍え、
二階堂千鶴
「…コちゃん……」
二階堂千鶴
「ロコちゃん……」
二階堂千鶴
「ロコちゃん!!!」
二階堂千鶴
「何処に居ますの!?」
二階堂千鶴
「お願い……返事を……」
二階堂千鶴
雨の中、家路に着く人混みを掻き分けて走る。
二階堂千鶴
疲れきったその足取りは度々縺れ、
二階堂千鶴
【ドン】 「あつっ……」 【ズシャァァァ】
二階堂千鶴
『おいおい、お姉さん大丈夫?』
二階堂千鶴
「……御免なさいな……」
二階堂千鶴
衆目は奇異な目で彼女を見るが、すぐに関わりを避けて足早に過ぎ行く。
二階堂千鶴
「ケホッ………」
二階堂千鶴
【Prrrrr……】
二階堂千鶴
「!!!……もしもし!?律子さん?」
二階堂千鶴
「……そうですか、そちらには……。ええ、ええ、では、引き続き……」【プツン】
二階堂千鶴
「……よいしょ、……いつつッ……」
二階堂千鶴
何度目かの転倒で幾つもの擦り傷を拵えた手足から、血が滲む。
二階堂千鶴
「ロコちゃぁーーーん!!!」
二階堂千鶴
「ゲホッゲホッ……」
二階堂千鶴
叫び続けた声は掠れ、雨音に消える。
二階堂千鶴
【Prrrrr】 「!!!もしもし!?お母ちゃん!?何か………」
二階堂千鶴
「………………え?」
二階堂千鶴
「……何……です、の?」
二階堂千鶴
「………ロコちゃん……が……」
二階堂千鶴
「………ビルから……飛び……え……?」
二階堂千鶴
「……………………………………………死ん…………だ?」
(台詞数: 37)