女子、二人並び立てば 第7話『援軍』
BGM
Starry Melody
脚本家
遠江守(えんしゅう)P
投稿日時
2017-11-11 09:28:52

脚本家コメント
書き次第の更新です。

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周防桃子
立ち込めるスモークの中で、桃子の左右に奈落が開く。
周防桃子
そこから、セリで押し上げられてきたのは…。
馬場このみ
「セクシーお姉さん、登場っ!」
周防桃子
右手に、このみさん。
豊川風花
「せ、清楚なお姉さん、登場…!」
周防桃子
左手に、風花さん。
周防桃子
以前に、桃子と『ジェミニ』というユニットを組んだ二人だった。
周防桃子
スモークがだんだん晴れてきて、ステージの上をさえぎるものがなくなっていく。
周防桃子
何が起こるのかと注目していたファンが、そこに現れた桃子たちの姿を見て、どよめき声をあげた。
周防桃子
そして、ファンと同じように心の底からびっくりしたって顔で、こちらを見るジュリアさん。
周防桃子
あれは、『そんなの、アリかよ…?』って思ってる顔だね。
周防桃子
アリだよ。桃子、ちゃんと社長さんに確認とったもん。
周防桃子
ギターを持ったジュリアさんが100%なら、桃子はこれで300%!!
周防桃子
…なんてね。さすがに、そんな単純な話ではないけど。
豊川風花
「…桃子ちゃん。本当に、いいのね?」
周防桃子
決意を確かめるような風花さんに、桃子は強くうなずいた。
周防桃子
「うん。このみさんと風花さんは、コーラスで桃子をサポートしてね。」
周防桃子
三人そろったといっても、このステージの主役は桃子であることは変わらない。
周防桃子
メインは当然桃子が歌って、二人はコーラスで桃子を下支えしてくれるようにお願いしてあった。
周防桃子
形としては、翼さんの『アイル』に近いかな。
周防桃子
もちろん、それは口で言うほどかんたんじゃなくて。
周防桃子
桃子にとってもギリギリのところを強いられる、ハードな歌になっている。
周防桃子
この曲を歌いたいって二人にお願いしたとき、条件を出したのはこのみさんだった。
馬場このみ
「サポートと言っても、私たちもサビの部分では本気で歌わせてもらうわね。」
馬場このみ
「もし、桃子ちゃんが少しでも力負けしたなら…その時点で、桃子ちゃんの歌じゃなくなるわよ?」
周防桃子
このみさんの注文を、桃子は飲んだ。
周防桃子
三人の大切な歌を、桃子一人のために使わせてもらうんだから、それは当たり前の話だと思って。
周防桃子
それに、それくらいのことができなければ、ジュリアさんに勝てるハズもない。
周防桃子
だけど、実際に練習に入ってみると、苦戦の連続だった。
周防桃子
外見の印象が強い二人だけど、その歌唱力は、シアター組のトップクラスに肩を並べるレベル。
周防桃子
正直に言えば、練習の時点では、何度も力負けてしてしまった。
周防桃子
だから、風花さんが心配して声をかけたのも、ムリもない話ってわけで。
馬場このみ
「風花ちゃん。野暮なことは言わないの。」
馬場このみ
「桃子ちゃんが私たちに頭を下げて頼んで、私たちはそれに応えたんだから。」
馬場このみ
「黙って背中を守るのが、大人の女の心意気ってものじゃない?」
周防桃子
そんな風花さんを、このみさんがたしなめてくれた。
馬場このみ
「それに、たとえ脇役でも、こんなに大きなステージに立つのって、悪い気分じゃないわ。」
馬場このみ
「次は、自分の力でこのステージに立ちたいって思えるから。」
周防桃子
このみさんは、本当にポジティブだね。うらやましいくらいに。
豊川風花
「そうですね。サイリウムの海がきらめいて、とても綺麗…。」
豊川風花
「それに、ジュリアちゃんにリベンジ、じゃないけどちょっと仕返しできる、いいチャンスです。」
周防桃子
そう言って、風花さんも笑った。
周防桃子
ああ、そういえば風花さん。第三回トーナメントの一回戦で、ジュリアさんに負けていたんだよね。
馬場このみ
「まあ、そんなわけで。こっちは準備も気合も万全よ。」
豊川風花
「私たちが桃子ちゃんを全力でサポートするから、思いっきり歌ってね。」
周防桃子
「二人とも…ありがとう。」
周防桃子
三人で顔を見合わせて、少し笑って。
周防桃子
正面に向き直った桃子は、司会の千早さんに、歌のタイトルを告げる。
周防桃子
『ジェミニ』の歌。みんなが知っていても、それをもっと強く心にきざみつけるように。
周防桃子
「桃子たちの歌、聴いてください。『永遠の花』!」

(台詞数: 50)