ももこの!
BGM
TOWN_RMX
脚本家
遠江守(えんしゅう)P
投稿日時
2017-11-06 22:56:04

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馬場このみ
今日は、事務のお手伝い。
馬場このみ
桃子ちゃんの誕生パーティーの準備に出かけた小鳥ちゃんの代わりに、キーボードをかたかたと。
馬場このみ
…役割が逆じゃないのってツッコミは、なしでお願いします。
馬場このみ
それに、こうやってプロデューサーと向かい合ってお仕事するのも、悪くないしね。
馬場このみ
でも、しばらくして、私は奇妙なことに気付いたの。
馬場このみ
いつものことだけど、プロデューサーのところには、たくさんの女の子がやってくる。
馬場このみ
用事がある子はもちろんだけど、そうじゃなくても、お話したり、構ってもらいに来たりと。
馬場このみ
それなのに、今日はみんな、そっけないというか、よそよそしいというか…。
馬場このみ
「ねえ、プロデューサー…あの子たちに、何かした?」
馬場このみ
私が聞いても、プロデューサーは力なく首を横に振るばかり。
馬場このみ
まあ、ここから見ている限りでは、彼が何か変なことをした様子もないんだけど。
馬場このみ
見ている感じ、嫌われているってわけじゃないのよね…。
馬場このみ
愛想笑いを浮かべて、『あ、いいです、いいです。なんでもないです。』みたいな。
馬場このみ
みんながみんなそんな感じなので、プロデューサーもかなりダメージを受けているのは間違いない。
馬場このみ
よく掃除されている事務室なのに、丸まったその背中が煤けて見えるくらいだった。
馬場このみ
…みんなには後で話を聞くとして。とりあえず、お姉さんが一発喝でも入れてやりますかね。
馬場このみ
そう思って、後ろに回り込んだ私が見たもの。それは…。
馬場このみ
シールだった。それも、かなりの大きさの。
馬場このみ
どう見ても不自然なそれが、プロデューサーの背中に、ぺたんと貼り付けられていて。
馬場このみ
そこに、大きく書かれていた文字。
馬場このみ
ももこの。
馬場このみ
ももこの…桃子×このみ?そんなわけない。小鳥ちゃんに毒されてはいけない。
馬場このみ
ももこの。ももこ、の。桃子の。
馬場このみ
…ああ、はい。
馬場このみ
そうよね。今日は、お誕生日だものね。
馬場このみ
独占したいけど、そんなこと口に出して言えないもんね。桃子ちゃんは特に。
馬場このみ
なるほど。それで、シール。なるほど。
馬場このみ
それは、こんなもの見たら誰だって遠慮するわよね。うん、私だってする。
馬場このみ
…まったく、素直になれないのも、困りものよねえ。
馬場このみ
ここは、とりあえず、お姉さんが助け舟を出してあげますか。
馬場このみ
「プロデューサー、お仕事はもう終わりにして、誕生パーティーに行って来たら?」
馬場このみ
「…私の勘なんだけど、向こうにはプロデューサーに構ってくれる子がいると思うわよ。」
馬場このみ
背中を押すようにして、プロデューサーを事務室から追い出して。
馬場このみ
少しすると、向こうから、弾けるような明るい声が聞こえてきた。
周防桃子
「お兄ちゃん、おそーい!デスクワークにいつまで時間かけてるの!」
周防桃子
「ほら、桃子のとなりにすわるの!クマくんが左だから、お兄ちゃんは右ね!」
周防桃子
「そっちのケーキ、桃子に持ってきて!それと、グラスが空だから、ジュースも!」
馬場このみ
…これで、一応めでたし、めでたし、かな。
馬場このみ
桃子ちゃんの作戦が当たって、みんなが遠慮した分、今日はたくさん時間が余ってるからね。
馬場このみ
どうぞ、今日はゆっくりと甘えてくださいな。
馬場このみ
私も、事務仕事の残りが片付いたら、桃子ちゃんのところに、お祝いにいくからね…。
馬場このみ
そんな、ほのぼのとした気分で、仕事に戻ろうとして。
馬場このみ
あっと気が付いた私は、パーティー会場にとんぼ返りで、乗り込んでいった。
馬場このみ
「小鳥ちゃん!もう準備は終わったでしょ!交代ー!」

(台詞数: 44)