馬場このみ 29歳 プロデューサー1話
BGM
TOWN_RMX
脚本家
nmcA
投稿日時
2017-03-30 00:31:45

脚本家コメント
連続ドラマです。
のんびりお楽しみください。
第1章「名ばかりヴィンテージワイン」
ちなみに、莉緒のプロデューサーさん呼びはわざとですよっと

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馬場このみ
時計のアラームで目が覚める。
馬場このみ
けたたましい音を手探りで止めながら最初に感じたのは違和感だった。
馬場このみ
……柔らかいお布団?
馬場このみ
身体を起こし状況を確認する。確かにここはベッドの上で、私には毛布がかかっている。
馬場このみ
私は確か応接室のソファーで横になっていたはずで……というか、ここはどこだろう。
馬場このみ
間取りこそよく知る応接室と一緒だが、ベッドも机も私の知らないものばかりだった。
馬場このみ
唯一見覚えがあったのは、枕元に置かれた時計のようなものだけ。
馬場このみ
とりあえず私は時計のようなものを手にとって、部屋のドアをひいた。
音無小鳥
「あら、もういいんですか」
馬場このみ
「え、ええ、ゆっくり休ませてもらったわ」
馬場このみ
見覚えのある顔と声にホッとするも、周囲の風景にまた心がさざめいた。
音無小鳥
「どうかしましたか?キョロキョロして」
馬場このみ
「う、ううん、なんでもないの。その、うちの事務所ってこんな雰囲気だったかしらって」
音無小鳥
「……もしかして、寝ぼけてます?悩みすぎはよくないですよ。あの子達も心配してるんですから」
馬場このみ
あの子達というのが気になるが、ひとまず笑ってごまかす。
音無小鳥
「それで曲は決まったんですか、プロデューサーさん」
馬場このみ
……私はまた周囲を見回した。少なくともこの部屋には私と小鳥ちゃんの2人しかいないようだが…
馬場このみ
「プロデューサー、来てるの?」
音無小鳥
「いや、来ているも何も、今私の目の前に……」
馬場このみ
……
馬場このみ
……
馬場このみ
「もしかして、私のこと?」
音無小鳥
「そうですよ、プロデューサーさん!」
馬場このみ
……
馬場このみ
「……んもう、冗談が下手なんだから小鳥ちゃんってば。私はアイドルよ」
音無小鳥
「私はアイドル?」
音無小鳥
「……ああ、曲のことですね!確かに紗代子ちゃんと百合子ちゃんにはピッタリですね」
馬場このみ
「紗代子ちゃんと百合子ちゃん?そうじゃなくて、私自身がアイドルだってこと!」
音無小鳥
「何言っているんですか。プロデューサーさんこそウソが下手ですよ」
馬場このみ
「いや、ウソじゃないわよ!小鳥ちゃんだってそれは知っているでしょ?」
音無小鳥
「……それ、いつの話ですか?」
馬場このみ
「い、いつって、今の話に決まってるじゃない!」
百瀬莉緒
「おはようございまーす!」
馬場このみ
「ああ、莉緒ちゃん、良かった。聞いてよ、小鳥ちゃんったらね」
百瀬莉緒
「あら、プロデューサーさん!今日もセクシーね!」
馬場このみ
「……え?」
音無小鳥
「莉緒ちゃん、さっきからプロデューサーがおかしいのよ。私はアイドルだなんて言って」
百瀬莉緒
「アイドル?今更何を言っているの?」
馬場このみ
「いや、だって、武道館でライブをやったばかりでしょ?」
音無小鳥
「武道館……?」
百瀬莉緒
「というと……5年前の?」
馬場このみ
「5年前?」
百瀬莉緒
「ねぇ、小鳥さん、プロデューサーさんが最後に休んだのいつ?働かせすぎじゃない?」
音無小鳥
「そんなことないですよ。プロデューサー3人体制になって休みが取れるようになったんですから」
馬場このみ
2人の会話を耳に入れながら、私の目は壁の一点に集中していた。
馬場このみ
ふらふらと足が前に動き出す。
百瀬莉緒
「プロデューサーさん、久しぶりに飲み行きましょうよ!アイドル時代みたいに。どう?」
馬場このみ
壁にかかったカレンダー
百瀬莉緒
「久しぶりにプロデューサとのライブの話もしたいし。武道館ライブ懐かしいわね」
馬場このみ
そこに記された日付は間違いなく5年後の今日だった……

(台詞数: 50)