馬場このみ
「最近服の趣味が変わったね」って。
馬場このみ
そう言われるようになって、やっと気付いたの。
馬場このみ
それまでの、身の丈に合わない、ぶかぶかの服。
馬場このみ
きっと、あれは私の「殻」だった。
馬場このみ
小さい。子供っぽい。可愛らしい。幼い。
馬場このみ
そんな言葉が、小さな痛みを連れて、次々と私に突き刺さってくるから。
馬場このみ
殻で心を守ったまま。背伸びして。突っ張って。時におどけてやり過ごして。
馬場このみ
そんな風に、これまでを生きてきたわ。
馬場このみ
さあ、今の私を見て。
馬場このみ
小さくて、まるで子供の服だけど。私の体にぴったりでしょう?
馬場このみ
もう、殻はいらない。
馬場このみ
たくさんの人がくれたエールが、私に殻に頼らない強さをくれたから。
馬場このみ
そして、ありのままの私を見て、奇麗だって言ってくれる人が傍にいてくれるから。
馬場このみ
その一言があれば、私は言葉の棘でハリネズミみたいになったって、まっすぐ立っていられるわ。
馬場このみ
…ねえ、あなた。
馬場このみ
あなたは魔法使いだわ。
馬場このみ
24歳の、ただの女に魔法をかけて、みんなを夢中にさせてしまうんですもの。
馬場このみ
あなたは、王子様。
馬場このみ
ずっと自分の殻に囚われていた私を、手を引いて太陽の光の下に連れ出してくれたのよ。
馬場このみ
…ううん、あなたは、悪魔ね。
馬場このみ
そんなことをされたら、一緒に地獄に落ちたってかまわないって、思ってしまうわ。
馬場このみ
ふふっ…。なんて、ね。
馬場このみ
私としたことが、それこそ夢見がちな女の子が言いそうなことを言ってしまったわ。
馬場このみ
きっと、こんなことを言ってしまうのも、あなたのせいね。
馬場このみ
少し癪だから、私からあなたに、意地悪な問いかけを一つあげる…。
馬場このみ
…あなたの目の前にいるのは、何の誤魔化しも無い、見た目のままの女の子。
馬場このみ
胸もお尻も薄っぺらで、背伸びをしても、唇が顔まで届きません。
馬場このみ
何をするにも、あなたがしゃがみ込まないといけないから、腰が疲れてしまいます。
馬場このみ
それなのに、自己主張は一丁前。口うるさくて、大変です。
馬場このみ
…さて、あなたは。それでも。
馬場このみ
この小さい小さい私を。殻から零れ出た一粒の真珠を。
馬場このみ
その両手で受け止める勇気は…ある?
(台詞数: 32)