百瀬莉緒
私の家に湧いたピカチュウが美少女だった。
百瀬莉緒
そのピカチュウは、自らを『このみ』と名乗った。
百瀬莉緒
「うん、確かにこのみ姉さんね」
馬場このみ
「ち、違う!!」
百瀬莉緒
「え?」
馬場このみ
「私はピカチュウよ!」
百瀬莉緒
せっかく肯定してあげたというのに…
百瀬莉緒
私の善意をこうも簡単に地面にたたきつけてくれるのね…
百瀬莉緒
「そ、そうね…」
百瀬莉緒
「それじゃあボールを投げて捕まえてもいいのかしら?」
馬場このみ
「ダメよ」
百瀬莉緒
「どうして?」
馬場このみ
「だって私はこのみだもの」
百瀬莉緒
「いや…それは知ってるわよ…」
百瀬莉緒
「それで、本当はどっちなのよ?」
馬場このみ
「私はピカチュウに決まってるじゃない!!」
百瀬莉緒
このピカチュウは随分と私にフェイントを掛けてくれるじゃないの…
百瀬莉緒
「わかったわ」
百瀬莉緒
「そんなにピカチュウだって言い張るのなら、証明してちょうだい!」
馬場このみ
「どうやって?」
百瀬莉緒
「それは…そうね~…例えば、ピカチュウっぽい技を出して見せるとか…かしら」
馬場このみ
「いいわよ」
百瀬莉緒
「えっ…ちょっ…急になにをするのっ…きゃっ!!」
百瀬莉緒
ピカチュウと名乗る美少女は急に私に詰め寄り…
百瀬莉緒
何の躊躇いも見せずに少し赤く染まったその頬を私の頬にくっ付けてすりすりとし始める。
百瀬莉緒
私はその不可解な行動に戸惑いを隠すことが出来なかった。
馬場このみ
「ふふふ…麻痺ったでしょ?」
馬場このみ
「これが私のほっぺすりすりよ!」
百瀬莉緒
「た、確かに不覚だったわ…でもね、もっとかみなりとか十万ボルトとか…あるじゃないの」
百瀬莉緒
「どうしてそのチョイスなのよ…」
馬場このみ
「それは…」
馬場このみ
「それは私がこのみだからよ!!」
百瀬莉緒
「異議ありっ!!」
百瀬莉緒
「それは貴方がお子ちゃまだからよ!!」
馬場このみ
「なっ…」
馬場このみ
「い、言ってくれるじゃないの…」
百瀬莉緒
「ふふふ…でもね、それが事実だから仕方がないのよ…」
百瀬莉緒
「そんなこのみ姉さんにとっておきの話があるわよ」
馬場このみ
「うん?」
百瀬莉緒
「雷の石よ!」
馬場このみ
「なによそれ!!!!?」
百瀬莉緒
「その伝説の石を使えばね、ピカチュウは一気に進化できるのよ!」
百瀬莉緒
その時、『このみ』に電流が走る。
馬場このみ
「莉緒ちゃん、それは一体どこにあるの?それはどこに売っているの!?」
百瀬莉緒
一気に成長する伝説の石"雷の石"があると知った『このみ』の眼差しは真剣だった。
百瀬莉緒
「それは…」
馬場このみ
「まさか知らないの!?」
馬場このみ
「はぁ~…残念」
百瀬莉緒
「こんな日もあるわよ、さ、飲みましょ、一杯奢るわよ」
馬場このみ
「ふふふ、雷の石なんかなくてもお酒さえあればいくらでも大人になれるよね!!」
(台詞数: 50)