私と、踊って
BGM
dear...
脚本家
nmcA
投稿日時
2016-07-21 00:35:11

脚本家コメント
少しアダルティが過ぎるかもしれません

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馬場このみ
「だって、彼は私の同僚だもの」
馬場このみ
結婚式の二次会のビンゴ大会で、偶然居合わせたプロデューサーを友人に紹介する。
馬場このみ
『え、彼の職場って芸能事務所でしょ?このちゃん、転職してたの?お堅い商社のOLから?』
馬場このみ
『ええ、このみさんはうちの事務所の所属アイドルですよ』と、プロデューサーが答える。
馬場このみ
この言葉に友人は更なる驚きの声を上げたが、ビンゴの声にかき消された。
馬場このみ
『このちゃん、アイドルになったの!?』「あら、さっきので私、リーチだわ。」
馬場このみ
『その歳とその体型で!?』「ちょっと?それは聞き捨てならないわね」
馬場このみ
『いえいえ、このみさんは素晴らしいアイドルですよ』プロデューサーが宥めにかかる。
馬場このみ
『確かにこのちゃんは高校の頃からダンスも歌も上手だったもんね』友人が紫蘇焼酎を舐める。
馬場このみ
『どんな感じだったんですか』『歌も踊りも艶っぽさを感じるの。見た目を忘れるぐらいにね』
馬場このみ
友人の言葉に顔が熱くなる。ウェイターに紫蘇焼酎のロックを頼もうと、手を挙げる。
馬場このみ
「俺、取ってきますから、このみさんは座っててください」プロデューサーがカウンターへと走る
馬場このみ
良い人ね、と友人は紫蘇焼酎をグビリと飲むと、言葉を付け加えた『でも、ちょっと心配だな……』
馬場このみ
『目標はトップアイドルなんでしょ?だったら、他人を蹴落とすことになるわけじゃない』
馬場このみ
『このちゃん、優しいからさ、できるのかなって』
馬場このみ
私は友人の質問に答えられず、リーチのままのビンゴカードに目を落とす。
馬場このみ
『自分の幸せのために、他人を犠牲にすることは決して悪いことじゃないよ』と友人は新婦を見た。
馬場このみ
新婦が新しい番号を読み上げる。彼女は数多のライバルを蹴散らしてあの場にいる。
馬場このみ
『あれ?このみさん、ビンゴじゃないですか?』
馬場このみ
いつの間にか戻ってきたプロデューサーが私のカードを指さす。
馬場このみ
私は慌ててビンゴ!と叫び、正面へと駆けた。
馬場このみ
二次会も終わり、新郎新婦に挨拶をして会場の外に出ると、プロデューサーが待っていた。
馬場このみ
『それ、重いでしょ?家まで運びますよ』と私が抱えたチンアナゴの巨大抱き枕を指さす。
馬場このみ
大丈夫よ、と答えたものの、私の身体はふらりと揺れた。
馬場このみ
言わんこっちゃない、とプロデューサーが私から抱き枕を取り上げる。
馬場このみ
『まさか、知人の結婚式の二次会でこのみさんに会うとは思いませんでしたよ』
馬場このみ
「私は昔話をバラされて恥ずかしい限りだけどね。おかげで足もフラフラよ」
馬場このみ
それは自己責任です、とプロデューサーが笑い飛ばす。
馬場このみ
私のマンションに着いた。プロデューサーは帰ると言ったが、手ぶらで帰らせる訳にはいかない。
馬場このみ
紅茶を出すからと言って、家に上がらせてソファーに座ってもらった。
馬場このみ
「そういえば、さっきの会場でね」と、友人に言われたことを準備をしながら話す。
馬場このみ
隣のリビングからプロデューサーの唸り声が聞こえたが、しばらくして答えが返ってきた。
馬場このみ
『間違ってないです。確かにこのみさんは優しすぎます。もっと利己的でもいいかもしれません』
馬場このみ
『特にトップアイドルになりたいのなら、シアターメンバーに譲る気持ちは持ってほしくないです』
馬場このみ
シアターのみんなに気を回してくれるのは嬉しいですけど、とプロデューサーは付け加えた。
馬場このみ
私は、カップに紅茶を注ぎながら、友人とプロデューサ、二人の言葉を反芻する。
馬場このみ
紅茶の最後の一滴を注ぎ終え、私は口を開いた。
馬場このみ
「それじゃあ、あなたをみんなから奪ってもいいわけね」
馬場このみ
意を決した言葉にリビングからの反応はない。カップを持っていくと、ソファーから寝息が聞こえた
馬場このみ
テーブルにカップを置き、プロデューサーにタオルケットをかけ、顔をじっと見つめた。
馬場このみ
「私だって、大人なんだから……」
馬場このみ
お酒の力を借りた精一杯の言葉の勢いを借りて、無防備な唇に口づけを試みようとした。
馬場このみ
リボン…金髪…ぬいぐるみ…カチューシャ…眼鏡…小説…踏み台…色々なものが頭をよぎる
馬場このみ
『もっと利己的でもいいかもしれません』
馬場このみ
私は、頭をよぎったすべての物を振り払うかのように、プロデューサーの唇を奪い、そして
馬場このみ
舌を入れた。
馬場このみ
目を開くと、驚いた顔の彼がいた。唇を離すと、輝く一本の糸が二人の口をつないだ。
馬場このみ
私は驚いた顔のままの彼をそのままに、すっと立ち上がって、髪をほどいた。
馬場このみ
シングルベッドに腰掛けて足を組み、彼のほうへ両手を差し伸べて、こう言った。
馬場このみ
「私と、踊って」

(台詞数: 50)