馬場このみ
かつて彼の地にはとても繁栄した国が在った。
馬場このみ
誰もがその国の噂を聞きつけては遠方から遥々やってくるほどに…
馬場このみ
その国の繁栄の象徴でもあった城下町を見たものは
馬場このみ
そのあまりの壮大さに羨ましく思い、溜め息をつくほどだったという…
馬場このみ
そして、誰もがその城下町に住みたいと願い…
馬場このみ
そこに暮らすことこそが一種のステータスであり、誇りでもあったのだ。
馬場このみ
たとえ埃っぽい穴倉だろうと、貧困街出身だろうと…
馬場このみ
一度そこに住んでしまえば、そんな過去の事は忘れてしまうほどに…
馬場このみ
その場所に酔いしれてしまうのだ。
馬場このみ
しかし栄華と繁栄は永遠ではない。
馬場このみ
始まりには必ず終わりがある。
馬場このみ
栄華も繁栄も、結局は人々の虚栄心から生み出された幻でしかなく…
馬場このみ
非情に脆く、同情するほどに移ろいやすいもの…
馬場このみ
彼の国も例外ではなかった。
馬場このみ
ある美女を巡って、彼の国は瓦解する、それが衰退の一途を辿る直接的な要因になるとも知らず。
馬場このみ
彼の国は荒れるに荒れた。
馬場このみ
絶世一の美女を巡る激しい争い、それはは栄華を極めた国を疲弊させるには十分だった。
馬場このみ
そのまま彼の国は、争乱に乗じて攻め込んできた強大な隣国によって…
馬場このみ
侵略の限りを尽くされ、滅びることとなる。
馬場このみ
廃墟と化したかつての城下町の中心地に独り、佇む絶世の美女は…
馬場このみ
その景色の変貌ぶりに、どんな夢の跡を見たのだろうか…
馬場このみ
知りたいですか?
馬場このみ
そうですね…
馬場このみ
自身を責め、自らを呪いました。
馬場このみ
悔しくて、ただ悔しくて…
馬場このみ
だって私がこの地にやってこなければ、こんな哀しい結末にはならなかったのです…
馬場このみ
たまたま噂を聞き、憧れを抱き、なにもない貧しい村から出てきました。
馬場このみ
ただ、純粋に人並みな生活を送りたくて…
馬場このみ
ただ、純粋に人並みな幸せを築きたくて…
馬場このみ
そんな見てはいけない夢を抱いて、ここへはやってきました。
馬場このみ
けれど、私は幸せを築くどころか…
馬場このみ
全てを壊してしまいました。
馬場このみ
失いたくないものも全て…
馬場このみ
奪いたくないものも全て…
馬場このみ
手に入れかけた幸せすらも…
馬場このみ
この手から…
馬場このみ
なにもない、この廃墟と化した城下町が…
馬場このみ
この場から望むことのできるあの寂しいお城が…
馬場このみ
私が追った…
馬場このみ
夢の跡なんでしょうね…
(台詞数: 40)