馬場このみ
どうぞ、上がって。
百瀬莉緒
ごめんね急に。
馬場このみ
構わないけどさ、キッチン借りたいってどうしたのよ急に?
馬場このみ
もしかしてつまみ作ってくれるの?ちょうど良かったわ、今日はいいお酒が手に入ってね…
百瀬莉緒
残念ですけど違います。
百瀬莉緒
その、材料を買ったはいいものの、調味料の類がうちに殆ど無くて…
馬場このみ
それも買いなさいよ。
百瀬莉緒
おつまみならちゃんとお礼に作りますから。
馬場このみ
まあいいけどさ。けどアンタ料理出来たっけ?
百瀬莉緒
これでも結構自信あるんですよ。「男は胃袋で掴め」って言うでしょ?
馬場このみ
ふーん。それじゃ、好きに使ってちょうだい。
百瀬莉緒
…よし、と。まあこんなものかしら。
馬場このみ
どれどれ。アジのみりん焼きにひじきの煮物、里芋のにっころがしときんぴらか。
百瀬莉緒
それと定番の肉じゃがもありますよ。どう?私だってやる時はやるのよ。
馬場このみ
ええ、見直したわよ。それじゃご馳走になろうかしら。
百瀬莉緒
だからこれは姐さんのじゃないんですってば。
馬場このみ
それじゃ何の為に作ったわけ?
百瀬莉緒
お弁当にするんですよ。冷蔵庫に入れたら明日までは大丈夫でしょ?
馬場このみ
うーん、味の善し悪しはさておき、ちょっと彩りが悪くない?
百瀬莉緒
そう?和風な感じでいいと思うんだけど。
馬場このみ
言っちゃ悪いけどこれじゃ年寄りが作ったお弁当よ。もうちょい色の映えるもの入れないと。
百瀬莉緒
そ、そうかしら…
馬場このみ
きんぴらはごぼうじゃなくて人参。あと被るから肉じゃがだけ。
馬場このみ
あとは…卵焼きでも作るか。えーっと卵焼きのフライパンは、と。
馬場このみ
よし出来た。弁当箱はそれね、こう詰めて…どう?赤と黄色入れるだけでも違うでしょ。
百瀬莉緒
なるほど。参考になるわね。
馬場このみ
ほい、出来た。ご飯くらいは自分ちで炊いて入れておきなさい。
百瀬莉緒
ええ、ありがと。残りの食材はお礼代わりに置いてくから。それじゃね。
馬場このみ
こら、後片付けくらいしてきなさい!ったく。
馬場このみ
…ま、頑張んなさい?ふふ、明日のプロデューサーの反応が楽しみね。
馬場このみ
(翌日)プロデューサー、お疲れ様です。あれ、莉緒は?
馬場このみ
今日はロケの直行直帰で会う予定は無い?嘘、じゃあ何で…ああ、何でもないわ。
馬場このみ
(どういう事かしら。てっきりプロデューサーに渡すものだと思ってたんだけど。)
馬場このみ
あ、プロデューサー。ううん大丈夫、こっちの話よ。それじゃ、行きましょうか?
馬場このみ
(自分用だったのかしら、あのお弁当?)
高木社長
(夜になって)書類作成が長引いたな、もうこんな時間か…ん?ドアに紙が挟んであるな。
高木社長
誰がこんな物を。メモのようだが…『冷蔵庫を見てください』?
高木社長
おや…弁当の包みだね、誰かの忘れ物かな?これも紙が挟んであるが…ん?
百瀬莉緒
『社長へ』
百瀬莉緒
『最近お忙しいようですね、食事もきちんと摂っていないらしいと小鳥さんから聞きました。』
百瀬莉緒
『仕事が忙しいのは私達にも結構ですが、あまり無理はなさらないよう。』
百瀬莉緒
『夜遅くにこのような差し入れもどうかとは思いましたが、是非召し上がって下さい。』
百瀬莉緒
『どうぞ、お身体にはお気を付けて。百瀬莉緒』
高木社長
百瀬君…アイドルにこんな気遣いをさせるとは、私もまだまだだな…ん?続きがあるのか。
百瀬莉緒
『追伸:一日遅れましたけど、お誕生日おめでとうございます。』
百瀬莉緒
『ささやかながら、プレゼントの代わりです。』
高木社長
…
高木社長
……
高木社長
昨日が誕生日だったのは黒井だよ、百瀬君…
(台詞数: 49)