馬場このみ
……思い返せば、数年前の私自身は、「今みたいな」私になることを想像していただろうか。
馬場このみ
……それは、無い。就職活動で目が回る思いをしていて、将来像を描く余裕なんて、無かった。
馬場このみ
まして、OLですらない仕事に就くなんて……思えば遠くに来たものね。
馬場このみ
……
馬場このみ
『な、なんで私が、ダンスメインのチームに抜擢されたの!?』
馬場このみ
……社長の閃きで、事務員ではなくアイドルとして仕事を始めることになったけど……
馬場このみ
なんでこのチームなのか。カラオケには密かに自信持ってたし、セクシーさ押しなら望む所だけど。
馬場このみ
聞く話だと、アメリカでダンス修行した娘とか、アスリート級の身体能力の娘もいるんでしょ?
馬場このみ
そんな人に着いていけないわよ……まとめ役は、他の成人組に任せましょ。
百瀬莉緒
『もー!なんで私はモテないの?アイドル始めたのに、街で誰にも声掛けられないし!』
北上麗花
『初めまして!ところで、夜更かししたサメは、どれ位鮫肌になってるかご存知じゃないですか?』
馬場このみ
……やっぱり、私がチームのまとめ役にならないと駄目みたいね、うん。
馬場このみ
……それからというもの、体作りとダンスレッスンに明け暮れたわ。不本意ながら、酒量を控えて。
馬場このみ
まとめ役なのに恥ずかしいレベルのパフォーマンスは出来ないし。他の娘に助言する為にもね。
馬場このみ
そうしてるうち、テレビのお仕事も回してもらえるようになったし。
馬場このみ
やっぱり、テレビに出てこそ芸能人って感じだからね。……役回りには、納得してないけど。
馬場このみ
……
馬場このみ
『モテたいって言ってるけど、莉緒ちゃん?もしボーイフレンドができたら、何したいわけ?』
百瀬莉緒
『え?ええと……テーマパークでデート、とか……?』
馬場このみ
……レッスンやお仕事の疲れ辛さを和らげてくれる、莉緒ちゃんとの飲み会も気晴らしになったし、
北上麗花
『このみさん、CDが決まったんですね!オオトリー・ヘップバーンですね!?』
馬場このみ
『それを言うなら、大トリだけでいいわよ。でも、ありがとうね。』
馬場このみ
……自分だけの歌を書いてもらって、それをみんなに聴いてもらえたり。
馬場このみ
「ミックスナッツ」の経験は、一番分かりやすく私を成長させてくれたけど……
馬場このみ
少しずつ少しずつ、その前から私は『素敵なオトナ』に成れて来たんだと感じる。
馬場このみ
……数年前の私、未来が見えていなかった私に、できれば伝えてあげたい。
馬場このみ
貴女が選ぶことになる道は、突拍子もないものに見えるだろうけど……決して、間違ってはない。
馬場このみ
そして、みんなに伝えたい。人生の選択は、誤りに続くものばかりじゃないんだって。
北上麗花
「ただいま帰りました〜。このみさん、お誕生日プレゼントお届けに上がりました!」
馬場このみ
「ただいまじゃないわよ!なんで5日間も連絡とれなくなってるの!心配したわよ。」
北上麗花
「だって、誕生日には白くてフワフワしたものが食べたいかなって?本場で買ってきたんです。」
馬場このみ
「って、これホッケ!?ケーキじゃないの?まさか北海道まで行ってたの?」
北上麗花
「クーラーボックスに容れてきたから、まだ新鮮ですよ!多分!」
馬場このみ
「さばくところから料理しなきゃいけないの……私の負担が大きすぎない?」
百瀬莉緒
「まあまあ、このみ姉さん。私の持ってきたアヒージョでもつまみながら、ゆっくり作りましょ?」
馬場このみ
「缶詰じゃない、莉緒ちゃんの!それにしても、温めてるの私だし!」
馬場このみ
……立場が人を育てると言うけど……私が面倒見ないほうが、二人は成長するのかしら、トホホ。
(台詞数: 37)