音無小鳥
《今回、わたしは善澤さんの言葉を担当します。オチ担当じゃありますん》
音無小鳥
《3人が座るソファの向かいに善澤さんが座っているとお考えください》
音無小鳥
それで、お母さんをアリーナライブに招待した訳だけど、話せる範囲で訊いても構わないかね?
如月千早
はい。
如月千早
以前お話ししたとおり、母とは……もちろん父ともですが…何年も会話と呼べるようなものは…。
音無小鳥
うん、なかったそうだね。
如月千早
独り暮らしを認めさせて…認めてもらってからは、それこそ事務的な連絡事項だけでした。
如月千早
会えば口論になるのがお互いに解っていましたし、実際、会わざるを得なくなった時には口論に。
音無小鳥
なるほど。そこからの心境の変化については、これは私の想像だが、あの事件かね?
如月千早
ええ………いいえ。
如月千早
声が出なくなったこと、取り戻したこと、そのことより、自分が、独りではないと、
如月千早
多くの支えでいま歌えているんだということを、本当の意味で感じることができたから。
音無小鳥
多くの支え、かね。
如月千早
これまで出会ったすべての方や物事、と言ってもいいかも知れません。
如月千早
そこに両親も含めて、です。
音無小鳥
それは相当に大きな転機だね。
如月千早
同じ事務所のみんなが、わたしのために作ってくれた「約束」、
如月千早
それを作るために力を尽くしてくれた春香、
如月千早
春香に、優の……弟の形見を手渡してくれた母、
如月千早
わたしが歌えるまで時間を下さった2人のプロデューサー、ピアニストさんとファンのみんな、
如月千早
コンサートスタッフの皆さん、ボーカルレッスンの先生、
如月千早
皆さんの優しさと強さをいただくことができた、つながりの全てが、いまのわたしなんだと。
音無小鳥
ふむ。よく解ったよ。そこに辿り着くのは大変だったろう。頑張ったね。
如月千早
ありがとうございます。
音無小鳥
そして、ライブでは、お母さんに会ったのかな?
如月千早
はい。バックステージは本来関係者でも一部の人しか入れないんですが、今回…
如月千早
事務所が特別に親族に会えるようにしてくれて、会うことができました。
音無小鳥
会って、話して、どうだったかね。
如月千早
辛い思いもがありましたし、どうなるか自分でも分かりませんでしたが、話してよかったと。
如月千早
母もわたしの歌を…いえ、これは違いますね。わたしの成長を、歌から感じ取ってくれて。
如月千早
「いい方々に恵まれたわね」と……
音無小鳥
それが、先ほど話してくれた、すべての人達、かな?
如月千早
一瞬一瞬のすべての出来事に。
音無小鳥
うん。そういえば、春香君から聞いたんだが、最近ではデジカメを持って、いろいろな風景を…
如月千早
えっ!! 春香ったら…そんな話を善澤さんに?もう…///
音無小鳥
はっはっ。春香君を責めないでくれたまえ。そういうのを上手く聞き出すのも私の仕事なんでね。
如月千早
はい……でも、プロの記者の善沢さんに知られるなんて、やっぱり恥ずかしいです//
音無小鳥
これは悪いことをしたかな。
如月千早
いままで歌うことばかりで、あまりに多くの大切な瞬間を見逃して来たのではないかと。
音無小鳥
それを大切にしたいと。
音無小鳥
ありがとう。今日のインタビューはここまでだ。
音無小鳥
響君も、ありがとう。
我那覇響
へ?自分、何もしてないぞ?
音無小鳥
いや、何もしていないという君こそ、この物語の重要なピースだ。
如月千早
そうよ、我那覇さん。あの、沼倉さんにも、よろしくお伝えしてくれる?
我那覇響
あ、ああ。愛美には自分がちゃんと伝えておくさー…///
如月千早
……。
我那覇響
……。
音無小鳥
………。
音無小鳥
(そうか、ひびまなっていうパターンもあるわね!ムフフ♪ )
(台詞数: 50)