黒井社長
ふぅ。四国にもいると聞いて登ってみたが……。いや、すぐにみつかるものでもあるまい。
大神環
おじさん、なにかさがしてるの?
黒井社長
むっ、こんなところで子どもがどうした。あとおじさんではない。
大神環
今はたまきが質問をしているんだぞ。質問を質問で返しちゃいけないんだぞ。
黒井社長
それなら、まず自分の名前を名乗るのが先であろう。
大神環
あ、そうかも。
大神環
たまきは大神環って言うんだ!小学三年生!おじさんは?
黒井社長
おじさんではない!私は黒井だ。おい、子ども、この辺りでワシを見なかったか?
大神環
ワシ?たまきのおじいちゃんは自分のことをワシって言うぞ。
黒井社長
誰も貴様の祖父のことなど聞いておらん!鳥だ!鳥のワシだ!こういうのを見たことないか。
大神環
ワシ……?これ、トンビだよね?
黒井社長
ふん!貴様みたいなガキンチョには高貴なワシと低俗なトンビの違いは分からんだろうな。
大神環
こうき……?ていぞく……?
黒井社長
知らんのなら貴様に用はない。私は急ぐのでな。
大神環
えー、おじさん行っちゃうの?たまきと遊ぼうよー。
大神環
おっきいトンビが飛んでる場所、教えるからさー。
黒井社長
大きかろうが小さかろうが低俗なことには……おい、今、大きなトンビと言ったか?
大神環
うん!ほかのよりおっきいんだ!でも、しっぽは短いんだよ。面白いでしょ!くふふ!
黒井社長
おい、子ども、その大きなトンビとやらがいる場所に連れていけ。
大神環
うん、いーよ!たまきと一緒にたんけんごっこだね!いっくよー!
黒井社長
お、おい、待て!そっちに道なぞないぞ!おい、待たんか!話を聞け!!
大神環
……おじさん、おそーい。こんなんじゃたんけんごっこにならないぞ。
黒井社長
だ、黙れ!セレブな私はこのような道に慣れておらんのだ。それでどこにいるんだ、ワシは。
大神環
トンビじゃなくて?
黒井社長
さっき言っていた大きなトンビがワシなのだ。さぁ、どこだ!
大神環
そうなの?だったら、ほら、あそこ!
黒井社長
ん……おお、あれはまさしく、大空の王者ではないか!
大神環
おうじゃ?
黒井社長
そうだ!ワシは王者の象徴!私のようなエレガントでセレブな者にふさわしい鳥よ!
大神環
おうじゃって、寂しいの?
黒井社長
……どういうことだ?
大神環
あの子、いつもひとりでいるから。友だちがいないのかなって。
黒井社長
ふむ……確かにつがいではなさそうだが。
大神環
……おじさんは、ひとりがいいの?友だちがいなくていいの?
黒井社長
……王者は常に孤高だ。
大神環
……じゃあ、環もおうじゃなの?
黒井社長
……大神環と言ったな。王者は王者になる素質のあるものがなるものだ。一人かどうかは関係ない。
黒井社長
ただ、貴様にはその素質がある。自信を持て。
大神環
そんなのより友だちが欲しい。
黒井社長
……なら、そのままでいろ。一応これを渡しておく。
大神環
なにこれ?めんこ?
黒井社長
私の名刺だ。世界の名だたる者しか手に入れられん代物だ。大事にしろ。
黒井社長
もし……もし、王者になりたいと思ったなら私のところへ来い。立派なアイドルにしてやる。
大神環
あいどる?おうじゃじゃなくて?
黒井社長
アイドル界に君臨する王者に貴様がなるのだ。私の手によってな。
大神環
おうじゃはどうでもいいけど、あいどるは楽しそう!
黒井社長
ふん、王者の素晴らしさを理解するにはまだ早かったか。
大神環
あっ、わしが飛んでくよ。どこへ行くのかな。
黒井社長
決まっている。全てを見下ろせる大空だ。
大神環
そっかー。たまきもいつかあんなふうに空を飛べるかなー。
(台詞数: 50)