豊川風花
私の家には、特別な『ネコ』ちゃんが、2匹います。……ネコグッズは沢山有りますけどね。
豊川風花
あ、ペットの話ではないです。不規則な独り暮らしで飼ったら、寂しがらせてしまいますから。
豊川風花
……
豊川風花
……私がアイドルの世界に飛び込む前、前の職場のみんなが送別会を開いてくれました。
豊川風花
看護師の仕事はお休みを合わせるのが大変なのに。みんなが集まってくれて、涙が出ました。
豊川風花
その席で餞別で贈ってもらったのが、2匹のうちで、先に来た子です。
豊川風花
これです……ブレスレットになってる、シルバーのビーズの『ネコ』ちゃん!
豊川風花
なんでもヨーロッパのお守りで、「チャンスを逃さない」って意味だそうです。
豊川風花
ご存じですか?ネコちゃんは優秀な狩人で、優れたジャンプ力があるんですよ。例えば……
豊川風花
……あ、話がそれちゃいましたね。ネコちゃんの話になると、つい夢中になっちゃって。
豊川風花
同僚のみんなは、アイドルになるための面接で合格するように、後押ししてくれたんです。
豊川風花
いつも穏やかな風花ちゃんが一大決心したから、私達も応援してるよ、って……
豊川風花
欠員が出るから、これから病院に残るみんなのほうが大変になるのに……少し、心苦しかったです。
豊川風花
……みんなの期待が、この『ネコ』ちゃんに宿ってるんですね、きっと。
豊川風花
面接を受けた事務所で合格して、アイドルとしての第一歩を踏み出すことができました。
豊川風花
左の手首の『ネコ』ちゃんと一緒に、事務所に行った、最初の日……
豊川風花
プロデューサーさんは……さすがに覚えていないですよね、私のこと。担当される前の話ですし。
豊川風花
大切なオーディションのときは、いつもこのブレスレットを着けてるのに、気づかない位ですし。
豊川風花
……もう。
豊川風花
……と、とにかく!アイドルの今の私が在るのは、この『ネコ』ちゃんの、
豊川風花
つまり、私を送り出してくれた昔の同僚のみんなのおかげだって、そう思ってます。
豊川風花
……アイドルになってからの私のことは、プロデューサーさんもよくご存じですよね。
豊川風花
なんといっても、ずっと私を担当していただいてますから。何も知らない頃のレッスンから……
豊川風花
個人曲のプロデュース、プロモーション。いろんなお仕事を取ってきていただいて……
豊川風花
……でもやっぱり、ちょっと納得できません!水着のお仕事とか、多くないですか?
豊川風花
……そう感じたときこそ、プロデューサーさんが『ズルく』なるんですよね。
豊川風花
ネコちゃんとふれあう仕事を入れてくれたり、歌番組に出してもらえたり。
豊川風花
私のテンションが下がりそうになると、私が喜ぶお仕事をあてがってくれて。
豊川風花
……あーあ。さんざんイタズラされてからかわれても、分かりやすいご褒美で喜ぶなんて、
豊川風花
ネコというよりは、まるで子犬みたいに扱いやすいですよね、私。きっと。
豊川風花
……シルバービーズの『ネコ』ちゃんには、もうひとつの意味があるんですよ。
豊川風花
我が儘を通せるように、周りに流されず自分を保てるように、っておまじない。
豊川風花
……プレゼントしてくれたみんなも、それを含めて贈ってくれたと思うんですけど……
豊川風花
見抜かれてる私の本質は、結局克服できないまま、ですね。
豊川風花
……流されやすいのも、風花の優しさの現れだ、って……そんな言い方に騙されませんからね。
豊川風花
ふふっ。いつも優しい私に癒されてるって言うなら。たまには、私の我が儘も聞いてくれますよね?
豊川風花
私が憧れてる清楚な衣装で、私がやりたい正統派なお仕事をして、私の好きな歌を歌って……
豊川風花
そして、私がやりたいオフの過ごし方に付き合う位はしてくれますよね、プロデューサーさん?
豊川風花
……たまには、でいいんです。私、ここまで導いてくれたプロデューサーさんを信じてますから。
豊川風花
ファンの皆さんに喜んでもらって、プロデューサーさんにも喜んでもらえるのが、今の励みです。
豊川風花
……
豊川風花
……クリスマスの日、この『ネコ』ちゃんの髪飾りを贈ってくれた、プロデューサーさん。
豊川風花
貴方のくれた『ネコ』ちゃんは、ブレスレットの『ネコ』ちゃんと同じように、私の支えですよ。
豊川風花
アイドルになった今、これからの芸能活動に不安はつきませんけど……
豊川風花
2匹の『ネコ』ちゃんと……プロデューサーさんが一緒なら、進んでいける、そう思うんです!
豊川風花
2匹の『ネコ』ちゃんが寄り添うように……プロデューサーさんと一緒なら、きっと。
(台詞数: 46)