最終皇帝このみ〜8ー2.囚われ人と旅人と
BGM
dear...
脚本家
イッパイアッテサ
投稿日時
2015-09-29 00:00:01

脚本家コメント
かつて世界を救い、今は人に仇為す、七英雄。
記憶と技を継承し、世界のため戦う皇帝。
ロマサガ2のクロスオーバー長編です。
ボクデン(実際ロマサガ2に、そういう名前のキャラが出る)こと風花さんが出演する話がつい長くなってしまい、前後編みたいになりました。
これは決して、私が一介の風花Pだからとか、今まで使ったことない立ち絵を押し出したかったという理由だけではなく。塚原卜伝のことをチョット調べたところ、盛り込みたいネタが増えてしまってです。
余談ついでに。
『この大陸では絶えてしまった投げ技』という話。
ロマサガ2の体術は、基本、殴る蹴るの技ばかり。ロマサガ3では投げ技が有ることの反映です。

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福田のり子
……いやー、この「水炊き」って美味しいね!骨付きの鶏肉が堪らないよ!
豊川風花
お鍋は吹きこぼれちゃったから、褒められても素直に喜べないかも……ううっ。
百瀬莉緒
のり子ちゃんは、美食の道が分かってないわねぇ。今日の食卓で一番は、『ヤウダの竹輪』よ!
豊川風花
市販品を買ってきただけだし……それが一番って言われるのはショックだなあ。
福田のり子
……あ、そういえばさっきから気になってたんですけど。
福田のり子
ボクデンさん、屋敷に帰ってからは男言葉じゃないんですね。あれは外でだけなんですか。
豊川風花
……そんな事はない、と思うけど。今日は女の子ばっかり集まったから、気が緩んだのかしら。
百瀬莉緒
私の修行時代は、こんな事なかったのにねぇ。……のり子ちゃんが緊張感無いのが原因じゃない?
福田のり子
莉緒さん、手厳しいよ。あたしだってこれでも、それなりに思い悩む事、あるんだから。
豊川風花
折角だから、打ち明けてみたら?あまり頼りにならないかもしれないけど、私達はお姉さんだから。
百瀬莉緒
……私まで「頼りにならない」にカウントされてるのは、心外だけどなあ。
福田のり子
……ボクデンさん。「人を斬る」時って、どんな気持ちになるの?
福田のり子
皇帝暗殺を企んでる悪党を誅してるって聞いたけど、それって怪物じゃない「人」を斬るんだよね。
福田のり子
あたし、闖入者を取り押さえたり、怪物を斬ったりはしたけど……経験が無くて、怖いんだ。
百瀬莉緒
……
福田のり子
頭では分かってるよ。このみ陛下を護るのがあたしの任務だし、邪な奴は倒さないとって。
福田のり子
でもさあ、スービエとやり合った時感じたんだ。ナリが化物でも、頭や心は人間だって。
福田のり子
このみ陛下も、同んなじ事感じてるみたいだし……次に七英雄とぶつかる時、普通に闘えるのかって
豊川風花
……今まで誅してきた中には、昨日までの同僚もいたし、自分では武器を取れない老人もいたわ。
豊川風花
普通の人の心を持っていたら、そんな人は斬れない……と思う。
豊川風花
だからこそ、無の境地を目指すとか、ありのまま為すべき事を為すという教えが有るのかもね。
豊川風花
誰がやっても辛い事なら、それを敢えてやるのがイーストガード(侍)なのよ。
百瀬莉緒
師匠……
福田のり子
……大師匠をもってしても、嫌なものは嫌なんだね。
福田のり子
よし、あたし誓うよ!!絶対にあたし達の代で、七英雄達のこと、ケリ付けるって。
福田のり子
七英雄が居なくなれば、怪物達も去っていくし、暗殺や小細工企むヤツも居なくなるんでしょ?
福田のり子
そうしたら、辛い責務も、女の子らしくありたいって思いを押し殺す必然も無くなるじゃん!
豊川風花
のり子ちゃん。私は為すべき事を為してるだけよ。女の子らしくありたいなんて気持ちは、もう……
福田のり子
またまた〜。ネコ柄の可愛い前掛け選んだり、お鍋の人参を星型にくり抜く人が言う事じゃないよ。
百瀬莉緒
ちょっと、のり子ちゃん!
福田のり子
だからさ、もう少しだけ我慢してよ。あたしと莉緒さんが、このみ陛下と一緒に解決するから。
豊川風花
ふふっ。それじゃあ明日の早朝、実戦レベルの手合わせしてあげるわ。口だけにならないようにね。
豊川風花
【……夜は更けて。】
豊川風花
……のり子ちゃん、もう寝ちゃったのね。もっと沢山食べて、夜更かしすると思ってたのに。
百瀬莉緒
いつもの事ですよ。のり子ちゃん、早起きして千本振り込みとか取り組んでますから。
豊川風花
純粋なのね、己を鍛えることに。……お昼間稽古してた時から感じてたけど。
百瀬莉緒
ええ。元々筋力は素晴らしいし、強敵に尻込みしない闘志もある。……師匠はどうご覧になります?
豊川風花
……正直ね、体の遣い方の癖を矯正した位で、素晴らしい才能が有るわ。あとは、実戦経験と、
豊川風花
強くなりたいとか、相手を倒さねばとかの「邪念」を乗り越えれば……私以上になりえるかも。
百瀬莉緒
この旅の中では、難しいかもしれませんね。私も、どれだけ導けるかですし。
豊川風花
……莉緒さんの口から、後輩を導くなんて台詞が出るなんて。昔は想像できなかったわ。
豊川風花
私の元に来た頃は……自分には何も無い、って信じきって、人生に絶望してる様子だったから。
百瀬莉緒
……
百瀬莉緒
……見透かされてましたか。確かにあの頃は、自分には男運が無い、財産も無い、学も才能も無い、
百瀬莉緒
人生逆転を狙ってフリーファイターになったけど、なおも自分を変えられない、って感じてました。
豊川風花
修行を終えて去る時も変わらなかったけど……今は『自分にはこれが有る』って見出したみたいね。
百瀬莉緒
……信じられますか?大好きな同僚が、ある日突然皇帝陛下になったんですよ。
百瀬莉緒
彼女の側で、彼女が何かを為すのを見たいって思って。無理言って最初に討伐隊に入れてもらって。
百瀬莉緒
それだけじゃなくて、同じ隊の後輩達の成長も楽しみで……この中なら私、果ててもいいかもって。
豊川風花
……果ててもいいかもって感じるのと、本当に旅半ばで果てるのとは別よ。それは、忘れないでね。

(台詞数: 50)