豊川風花
ふふっ、今日はご馳走して下さってありがとうございます!プロデューサーさん!!
豊川風花
…でも、帰り遅くなっちゃいますけど…大丈夫ですか?
豊川風花
私の問いに、大丈夫と首を振るプロデューサーさん…
豊川風花
煙草もお酒も好まず、大人っぽいといえばネイビーカラーのスーツだけ。
豊川風花
普段はエッチで、頼りなくて、子供っぽいプロデューサーさん…。
豊川風花
…だけど、夜のビル街の灯りに照らされたプロデューサーさんは…
豊川風花
凛々しくも素敵な、大人の男性の顔をしていた…。
豊川風花
いくら遅くなるって言っても…仕事のパートナーと言っても…
豊川風花
女性と2人っきりっていうのは、奥さんに怒られちゃいますよ?うふふ…。
豊川風花
茶化したその時、からくり時計の音が鳴る。
豊川風花
時計の針は、短針と長針が抱き合う恋人のように重なっていた。
豊川風花
…えっ?もう12時…流石に終電間に合わないんじゃ…?
豊川風花
その問いに、プロデューサーさんは笑って鞄から小さな箱を取り出す。
豊川風花
…え…っ…これって…?
豊川風花
中に入っていたのは、幾つものリングが重なったネックレス…。
豊川風花
リングには『9/2 FUUKA TOYOKAWA』と刻印されていた…。
豊川風花
…プロデューサーさん…!
豊川風花
プロデューサーさんは照れながら、誕生日おめでとう…と。
豊川風花
色々させたくない仕事もさせてるけど、これからも信じてついて来てくれ…
豊川風花
風花さんは大事なパートナーなんだから…と。
豊川風花
………。
豊川風花
………。
豊川風花
プロデューサーさん…こういう時だけ雰囲気作るの…ズルいですよ…。
豊川風花
私とあなたは、職業的にも…倫理的にも…好きになっちゃいけない間柄なのに…。
豊川風花
こんな事されちゃったら…本当に惚れて引き返せなくなっちゃいますよ…?
豊川風花
…あなたは、そういうつもりで送ってくれたんじゃないけど…。
豊川風花
…え?泣いてる…?私が…?
豊川風花
えっ…や、やだなぁ…泣いてないですよぉ!!
豊川風花
溢れそうな本心を殺して誤魔化すので精一杯だった。
豊川風花
あなたの悪意のない鈍感さと大事に思ってくれている気持ちで…胸がいっぱいだった…。
豊川風花
ネックレスを付け、私はあなたの後ろに回り首を抱く。
豊川風花
もっと近くでネックレス付けてる姿を見せて欲しい…なんて強がり言ったけど…
豊川風花
涙溢れそうな顔を…見られたくなかった…。
豊川風花
…それと同時に、あなたの温もりを感じたかった…。
豊川風花
…だから…この一瞬だけでも…
豊川風花
…一人の女の子で…
豊川風花
…あなたの恋人で、いさせてくれませんか…?
(台詞数: 37)