北上麗花
風花さん、今日からの番組、ガンバですね!制服を着るお仕事なんで、ピリッとしちゃいます。
豊川風花
頑張りましょうね、麗花ちゃん。……医師の白衣は、普通『制服』とは言わないと思うけど。
豊川風花
でも、健康番組のMCに麗花ちゃんがなるのは意外ね。前職の経験が有る私はともかく。
北上麗花
えっと、この前プロデューサーさんが何か聞いてきたんだけど。私、登山の事考えてて。
北上麗花
「山、いいですね。張り切っちゃいます!」って答えたら、このお仕事を頂けちゃって。
豊川風花
(『病(やまい)ですね』、って聞き間違えたのね、プロデューサーさん。)
北上麗花
でも私、昔からお医者さんに行ったことほとんど無くて。女医さんってイメージつかないんです。
北上麗花
そんな私に付き合ってくれるなんて……苦労デューサーさん、大変かも。
豊川風花
自覚症状が有るんだったら、自分で取材するなり何なりしてください!
北上麗花
あ、今の風花さんみたいに、言うこと聞かない患者さんにビシッと言えばいいんですね!
豊川風花
もう、好きにしてください。……私がフォローできることはしていきますから。
北上麗花
はーい!……あ、早速だけど、お医者さんってお昼は何を食べてるのかな?カレーとか?
豊川風花
……
豊川風花
(北上麗花ちゃん。私と同じ事務所に所属してる、アイドル仲間。)
豊川風花
(初めてのIMCでユニットを組んだ縁もあって、ちょこちょこお仕事が一緒だ。)
豊川風花
(……正直、奔放すぎる言動に振り回されることがしばしばだ。たぶんプロデューサーさんは、
豊川風花
……良識有る人間と行動するようスケジュール調整してるのだろう。例えば、私をあてがって。)
北上麗花
風花さん、どうかした?ご飯冷めちゃうよ。もともとロケ弁だけど。
豊川風花
……あ、ごめんなさいね。ちょっと考え事してて。
北上麗花
この、いかにも着色料使ってそうなお漬物美味しいよ。美味しいものほど体に悪いって本当だね。
豊川風花
……
豊川風花
(彼女を、自由奔放とか、空気が読めないとか評する声は、よく聞く。)
豊川風花
(週刊誌やネットだけでなく、劇場でお客さんに掛けられる声にすら混ざっている。)
豊川風花
(ただ……不思議なのだ。彼女のそんな面をネガティブに捉える人はすごく少ない。)
豊川風花
(『今月の麗花ちゃん』などと、奇行が特集されたり。ぷっぷかさんなら仕方無いと言われたり。)
北上麗花
それじゃ、台本合わせしよ。……赤ペン忘れたから、ケチャップで書こうかな。
豊川風花
もう、私のを一緒に使いましょ。麗花ちゃんったら、仕方ないんだから。
豊川風花
……
豊川風花
(そうなのだ。私も彼女を許してしまう一人だ。怒っても、突き放してもいい筈なのに。)
豊川風花
(……時々、考えてしまう。麗花ちゃんが今求められているのは、こういう部分ではないか。)
豊川風花
(仕事の場でも、それ以外の人間関係の中でも、苛立ちやすれ違い、軋轢は生じてしまう。)
豊川風花
(だからこそ、他人を『許して』あげるのが、誰しもに必要なことだけど……それは難しい。)
豊川風花
(相手の事を許したくても、プライドや体面や、経済的な損得で、なかなか踏ん切りがつかない。)
豊川風花
(そんな社会の中……例えば麗花ちゃんをテレビで見て、その奔放さを『許す』ことで、
豊川風花
……視聴者の方は、誰かを許せる自分を再確認したり、他人を許せなかった後悔を和らげられる。)
豊川風花
(そして何より……『誰かに許してほしい自分』も、きっと大丈夫だと置き換えるのだろう。)
豊川風花
(……親の反対を押し切り、職場の期待を打ち捨て、学びの日々を無下にし、
豊川風花
……看護師の道を捨て、アイドルとなった……私も、『誰かに許されたい』一人だ。)
北上麗花
……ちぇすとぉ!
豊川風花
わ!なに、何があったの?
北上麗花
差し入れのきな粉餅、美味しいよ!お皿が無いから、直接風花さんのお口に入れちゃった!
豊川風花
……もう、麗花ちゃんったら。
豊川風花
……
豊川風花
(……アイドルとしてやって行く、今の道に不安は尽きないけど……
豊川風花
……麗花ちゃんの奔放さは、私を支えてくれる大事な要素だ。本人にそんなつもりは無いけど。)
豊川風花
……
豊川風花
って、麗花ちゃん!白衣がきな粉まみれじゃない!それ本番の衣装なのに!
北上麗花
えへへっ、風花さんは頼れるお姉ちゃんで嬉しいです。これからも私を支えてくださいね!
豊川風花
……そんなこと言ってる余裕は無いのよ!もう撮影が始まるんだから〜!
(台詞数: 49)