宮尾美也
「はぁ…はぁ…はぁ…」
宮尾美也
私は走る。どんどんと走っていく。
宮尾美也
あの人と別れてからもう5年は過ぎた。
宮尾美也
私は、あの人のことが好きだった。
宮尾美也
好きで好きでたまらなかった。
宮尾美也
だから、あの時、あの人がいなくなるということを聞いたときはショックだった。
宮尾美也
あなたがいなくなる悲しさ…
宮尾美也
あなたと会えない寂しさ…
宮尾美也
そして…
宮尾美也
私の気持ちも知らないで勝手にいなくなる…怒り。
宮尾美也
その三つが同時に込み上げてきた。
宮尾美也
だから私は、あの人に会って引き止めようと思った。
宮尾美也
あの人に会って文句を言おうと思った。
宮尾美也
だけど…
宮尾美也
あの人は私を見つけるとこう言ったの…。
宮尾美也
『俺が戻ってきたら…ずっと一緒にいよう。』
宮尾美也
そう言うと、あの人は行ってしまった。
宮尾美也
私は…文句を言うどころか、心を動かされてしまった。
宮尾美也
あの人はいつもそうだ。
宮尾美也
私に気持ちも知らないで…
宮尾美也
私の想いも知らないで…
宮尾美也
いつも勝手な行動ばかりする。
宮尾美也
でも…
宮尾美也
私のことを見ていないようで…
宮尾美也
本当は私のことを見ていてくれる…
宮尾美也
そんなあなただからこそ、私は惚れてしまったのかもしれない。
宮尾美也
だから待った。
宮尾美也
待って待って…待ち続けた。
宮尾美也
数日…数週間…数か月…
宮尾美也
あなたのことを片時も忘れずに待ち続けた。
宮尾美也
そして…あの日から5年がたった今日。あの人から連絡があった。
宮尾美也
だから…私は走る。
宮尾美也
どんどん走っていく。
宮尾美也
あの人の元へ走っていく。
宮尾美也
全力で走ったせいか、息が切れてきた。
宮尾美也
それでも…私は走り続ける。
宮尾美也
あの人に会うまで…私は走り続ける。
宮尾美也
そして…あの時約束をしたあの場所。そこにあなたがいたのを見つけた。
宮尾美也
あなたを見つけた喜び…
宮尾美也
あなたが約束を守ってくれた嬉しさ…
宮尾美也
そして…
宮尾美也
私を待たせた怒り…
宮尾美也
三つの感情が同時に込み上げてきた。
宮尾美也
……涙が止まらなかった。
宮尾美也
そんな三つの感情よりも…
宮尾美也
あなたが無事でいてくれたことの安心感が強かったからだ。
宮尾美也
……私はそのままの勢いであの人に抱き着く。
宮尾美也
そして…ずっと言いたかった一言をあの人にぶつけた。
宮尾美也
「おかえりなさい…。」
宮尾美也
「おかえりなさい…。あなた。」
(台詞数: 50)