福田のり子
あれ?ジュリア?
ジュリア
のり子。帰ったんじゃないのか?
福田のり子
いや、帰る前にステージの整備をちょっと。ね
ジュリア
はぁ?武道館が終わるまで劇場の公演は休みだろ?
福田のり子
まぁ、そうなんだけどさ・・・。そういうジュリアは?
ジュリア
・・・・・・
ジュリア
ステージの音響チェック
福田のり子
なーんだ、考える事は一緒か
ジュリア
あー、あー。チェック、マイクチェック、ワンツー。コッコッ
ジュリア
ちっと高音が強すぎるか・・・。マイクチェック、ワンツー
福田のり子
(トンテンカントンテンカン)ねえ、ジュリア
ジュリア
んー?
福田のり子
もしかしてさ。ビビってる?
ジュリア
はぁ?!なんだよ急に!
福田のり子
あ、ごめんごめん。なんとなくそうかなーって思っただけで
ジュリア
ビビってるわけない・・・
ジュリア
いや、違うか。お前相手に意地張ってもしょうがないわな
ジュリア
正直ビビってるよ
ジュリア
武道館だぞ、武道館。音楽少しでも齧ってる人間には憧れの聖地でライブすんだ
ジュリア
ビビんねえ方がどうかしてるよ
福田のり子
なんだ、やっぱり考える事は一緒か
福田のり子
正直さ。実感わかないよね。ついこないだまであずささんたちのバックか裏方やってた私達がさ
福田のり子
武道館だもんねぇ・・・
ジュリア
・・・ここなら良かったんだけどな
ジュリア
このシアターの舞台のことなら全部知ってる。どんな音出したら、どう聴こえるか
ジュリア
ここなら、アタシの最高の音を観てくれる人全員に届けられる自信がある
ジュリア
そんくらい、アタシにはここが原点なんだ・・・
福田のり子
なんか分かるなー。私も自分で建てたセットじゃないとどうも不安で
福田のり子
ここなら目瞑ってても走り回れるんだけどね
ジュリア
正直、泣き言いってる場合じゃないんだけどな
福田のり子
ま、そうなんだけどね
福田のり子
あ、そうだ
ジュリア
今度はなんだよ
福田のり子
大道具の親方に教わったおまじない。教えたげるよ
ジュリア
はぁ?
福田のり子
あのね、親方は準備が終わったら自分の手でステージ撫でて回るんだ
ジュリア
なんだそりゃ・・・
福田のり子
やってみれば分かるって。ほら(ナデナデ)
ジュリア
お、おう・・・(ナデナデ)
ジュリア
あ、ここ釘の頭が出てるじゃねえか。のり子、ナグリ(金槌)貸してくれ
ジュリア
あ、そういうことか
福田のり子
「舞台の上に躓く様なモノは残さない。それが俺たち大道具の仕事だ」
福田のり子
「それでも舞台で躓くなら、そりゃ舞台に立つやつがヘボなんだ」だってさ
ジュリア
流石親方、粋なこと言うじゃないか
福田のり子
だからね、本番の前にステージ撫でると気合入るんだ
福田のり子
この舞台を作った人達はいい仕事してる。なら私がヘマするわけにはいかない、ってさ
ジュリア
・・・なるほどな。いいこと聞いたわ。サンキューな、のり子
福田のり子
武道館、成功させようね
ジュリア
おう
福田のり子
~武道館本番まで、もうすぐ~
(台詞数: 50)