空に花火、隣には
BGM
カーニヴァル・ジャパネスク
脚本家
かもねぎ
投稿日時
2016-08-22 20:07:53

脚本家コメント
そんな雰囲気です。

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福田のり子
焼きそば、たこ焼き、りんご飴、そして飲み物。
福田のり子
心の隙間は綺麗な花火と美味しい食べ物で埋めよう。
福田のり子
道行くカップルには目もくれず、焼きそばを頬張る。幸せ。
福田のり子
そうだ、SNSにアップとかしたりして…
福田のり子
そうだ、SNSにアップとかしたりして…ダメだ。見るんじゃなかった。なにが花火なうはーとだ。
福田のり子
夏らしいことをしていないから、なんて安易な考えでくるんじゃなかったかなぁ。
福田のり子
…お、上がった上がった。そうだ、写真でも撮っておこう。気が紛れていいかもしれない。
福田のり子
……うん、我ながら上手く撮れた。なんて自画自賛をしていると、聞いたことのある声が。
福田のり子
「あ、やっぱりそうだ!おーい!」
福田のり子
福田のり子。クラスメイトである彼女は、見慣れた制服姿ではなく浴衣姿だった。
福田のり子
「ね、もしかしてひとり?」
福田のり子
ぐさり。何気ない一言ではあるのだろうが、今の自分には深く刺さる一言だった。
福田のり子
少し不機嫌な声で返事をすると、逆に彼女は笑顔になって
福田のり子
「よかったー!実はアタシも一人だったんだよ~」
福田のり子
珍しい。学校にいるときはいつも誰かに囲まれている彼女が、今日は一人なのか。
福田のり子
「本当は友達と来る予定だったんだけど、急に仕事が入っちゃってさ・・・」
福田のり子
仕事・・・ああ、アイドル友達のことだろうか。彼女はアイドルをやっていると聞いた。
福田のり子
「そ。せっかく浴衣も準備しちゃったし、もったいないから行こうかなーって」
福田のり子
「てことで、隣、いい?」
福田のり子
…ま、いいか。こっちも1人だったし、図々しいカップルに座られるよりずっとマシだ。
福田のり子
「いやー、浴衣って着慣れてないから疲れちゃうね。暑いから汗もかいちゃったよ」
福田のり子
「あ、飲み物もらっていい?」
福田のり子
…図々しいのは彼女もだった。いや、可愛らしいものであるけれど。
福田のり子
……って、それ飲みかけのやつだよな。
福田のり子
「あ、気にするタイプだった!?ごめん…」
福田のり子
いや、そこは別にいいんだけど、むしろそっちがどう思うかの問題なのであって。
福田のり子
「別に、嫌いじゃなきゃこのくらい普通じゃない?アタシ、君のこと嫌いじゃないね」
福田のり子
…なぜか少しドキッとしてしまった。いや、嫌いじゃないけど好きでもないのパターンだろ、これ。
福田のり子
「ね、花火上がった?ちょっと遅れて来たからわかんなくってさ」
福田のり子
ああ、それならとさっき撮った写真を見せる。フォルダの中身を見せないように、慎重に。
福田のり子
「すご、めちゃくちゃ綺麗に撮れてる!写真のセンスあるんだ」
福田のり子
褒められて少しくすぐったくなる。だめだ、ますます勘違いをしてしまいそうになる。
福田のり子
「はい、ありがと・・・あ、上がった!たーまやー!」
福田のり子
空に大きく開いた花火に再びシャッターを切る。うん、今度も上手く撮れた。
福田のり子
「わ、綺麗に撮れてるね」
福田のり子
彼女の顔が肩近くにまで来ていたことと、ふわっと香る髪の匂いに、また少しドキッとした。
福田のり子
「すごいね、ホントにセンス、いや、むしろ才能?」
福田のり子
褒めるのがうまいのか、はたまたこちらが褒められ慣れていないのか。
福田のり子
またくすぐったくなって、紛らわせるために飲み物を口に含む。
福田のり子
・・・紛らわせられなかった。
福田のり子
「ねね、今度は一緒に撮ろうよ。花火バックで」
福田のり子
なかなか難しくないかな、それ。
福田のり子
「いいのいいの、レッツトライ!」
福田のり子
「上手く撮れたらちょうだいね、あとでLINE教えるから」
福田のり子
立て続けに距離が縮まって少し困惑しかけたけど、これくらい普通、なんだろうか。
福田のり子
「ほら、また上がるっぽいよ!」
福田のり子
「ほーら、もっと近づいて!そんなんじゃ映らないよ?」
福田のり子
ぐっと距離を詰められる。ああ、とうとう物理的になってしまった。
福田のり子
これは好きとかそういうことではない、なんて心の中でぶつぶつつぶやきながらシャッターを切る。
福田のり子
・・・赤い花火をバックに撮ったせいか、彼女の頬は少し赤くなっている気がした。

(台詞数: 50)