
福田のり子
2月14日。バレンタインデー。

福田のり子
アタシは、生まれて初めてのチョコづくりに挑戦することにした。

福田のり子
幸い、今年は前日が金曜日。学校の気兼ねもなく、チョコづくりに打ち込める。

福田のり子
春香からレシピも教わった!これなら間違いなしっ、気合い入れてつくるぞ~っ!!

福田のり子
…と息巻いていたら、のり子ちゃん、レシピ通りに忠実にだよ?と釘を刺された。

福田のり子
どうやらお菓子づくりというのは、グラムや時間をノリでやると失敗するものらしい。

福田のり子
…オンナノコの趣味って、難しい。

福田のり子
ともあれ作業開始。板チョコを袋に入れ、麺棒でバンバン叩いて砕く。

福田のり子
最初レシピを貰ったときは目をひん剥いたが、こうするのが包丁で細かくするより楽らしい。

福田のり子
…何だか楽しくなってきた!細かく砕いたチョコを湯煎して、型に流し込む。

福田のり子
そーっと、ここで横着したら台無しだよ…っと…!

福田のり子
よしっ!!こぼさず流し込み成功!!あとはあら熱を取って、冷蔵庫にしまえば完成だ。

福田のり子
…冷蔵庫に入れた手がいやに寒いのは、冬のせいだろうか。

福田のり子
それとも、妙に熱の込もった、アタシ自身の体温のせいだろうか…。

福田のり子
─そして、翌日。

福田のり子
結果から言うと…失敗してしまった。

福田のり子
ホワイトチョコの上からでも分かるぐらい、白いカタマリが浮いていたのだ。

福田のり子
ファットブルーム。湯煎の温度を一定に保たないと出る現象だ。

福田のり子
…そういえば春香のレシピにも赤線が引いてあった。楽しくなりすぎて迂闊だった…。

福田のり子
…でも、不思議と嬉しくなった。

福田のり子
アタシが砕いて溶かして、アタシが凡ミスして、アタシがつくった…脂肪の花の浮いたチョコ。

福田のり子
そんなチョコを見てると、失敗作だ、なんて思えないんだ。

福田のり子
女の子らしくなりたくって、でもやっぱりまだガサツな、今のアタシのチョコ。

福田のり子
見れば見るほど、いとおしくなる。

福田のり子
…アタシは、『その子』を箱に入れて、リボンでラッピングする。

福田のり子
…うまくリボンが結べなくて悪戦苦闘したのは、ちょっと内緒にしたいな。

福田のり子
『この子』とアタシと、2倍の想いを乗せ…あの人の所へ、いざ。

福田のり子
よしっ!!行くよっ、クラウザー号っ!!
(台詞数: 28)