真壁瑞希
昨晩見た夢の話。
真壁瑞希
起きたらもう忘れています。
真壁瑞希
けれど、私の胸にぽっかりと空いた穴と、枕にできた大きな染みを見つけると…
真壁瑞希
それが、私にとって大切な出来事だったのだと思い知らされます。
真壁瑞希
私の中にその忘れてしまった夢が沁みているんでしょう。
真壁瑞希
『夢なんて、所詮ユメで、寝ている間に見る妄想だよ』なんて…
真壁瑞希
あなたはそう言って、一蹴して嘲笑してさえくれます。
真壁瑞希
でも、思うんです。
真壁瑞希
あの夢から目覚めた朝、私が感じた寂しさは本物だったのかな…と。
真壁瑞希
けれど、なにが、どうして、私をそんな気持ちにさせたのか。
真壁瑞希
私にはわからない。
真壁瑞希
だって、私は何も覚えていないんですから…
真壁瑞希
ほんの些細な情景でさえ思い出せない。
真壁瑞希
全て真っ黒で…全て真っ白なんです。
真壁瑞希
それって、とっても淋しいことですよね。
真壁瑞希
感情だけが、何かがあったことを物語ってくれていても…
真壁瑞希
それを証明できる材料は他に何もないんですから。
真壁瑞希
ここには夢の跡は残ってすらいないんです。
真壁瑞希
あるとしたら、それは枕に出来ていた涙の跡だけ…
真壁瑞希
それを軌跡と呼んでいいのかさえ、私にはわかりません。
真壁瑞希
それが無情な現実です。
真壁瑞希
受け入れがたい無慈悲な世界。
真壁瑞希
それが私が生きている世界。
真壁瑞希
「おはようございます。もう朝ですよ」
(台詞数: 24)