真壁瑞希
さぞ絢爛なお部屋だろうと身構えていたのですが。
真壁瑞希
見慣れた光景だったのでとても驚きました。
真壁瑞希
本当に、どこにでもある感じです。
真壁瑞希
平凡な民家と電柱、小鳥のさえずり。
真壁瑞希
遅刻気味の女子高生や、竹箒で掃除するおじさん。れれれのれ〜。
真壁瑞希
箱崎さんのお部屋の中には日常が広がっていました。
真壁瑞希
ほら、よくありますよね。ビルのワンフロアを使って日本庭園を再現しました……とか。
真壁瑞希
ああいう感じです。お部屋のなかで社会を再現したそうです。
真壁瑞希
まさに箱庭ですね。箱崎さんだけに。
真壁瑞希
……おほん。
真壁瑞希
なぜそんなことを、お外に出ればいいじゃないか。
真壁瑞希
と、私が尋ねますと。
真壁瑞希
外は危険がいっぱいだから安全な屋内設計にしたのさ、ベイベー。
真壁瑞希
と、箱崎パパが。決して箱崎さん本人ではありません。
真壁瑞希
所有者がそうおっしゃるのですから、ひとまず納得。
真壁瑞希
しかしまた別の疑問が浮かびます。
真壁瑞希
遠くに見える箱崎邸。
真壁瑞希
そこにも箱崎さんのお部屋はあるはずです。その扉を開けたらどうなるのか、と。
真壁瑞希
我ながら鋭い着眼点です。今度こそ本当に、箱崎さんのお部屋かもしれません。
真壁瑞希
そう考えた私は、許可を得て箱崎邸へと向かいます。
真壁瑞希
中略。
真壁瑞希
ついに箱崎さんのお部屋にたどり着いた真壁。足がつかれた。
真壁瑞希
そしてドアを開けると、そこには。
真壁瑞希
箱崎さん親子が手を振っていました。
真壁瑞希
私も手を振り返してドアをくぐります。
真壁瑞希
箱崎パパ曰く。
真壁瑞希
これはマトリョシカ式なのだよ。開ければ一回り小さくなるが、最奥まで行くには寿命が足りない。
真壁瑞希
星梨花の部屋を開けた回数をnとするとf(n)=なんとかかんとか。
真壁瑞希
日常会話でいきなり数式を使わないでください。理系か。
真壁瑞希
あ、いま私たちが居るのはf(4)だそうです。理系か。
真壁瑞希
疲れたので座りたいと申し出ると、レレレのおじさんを寄越されました。
真壁瑞希
箱崎さんは笑顔です。箱崎パパも笑顔です。
真壁瑞希
……パワハラだ。この場合の被害者は誰だろう。
真壁瑞希
心なしかレレレのおじさんも笑っています。
真壁瑞希
春日和の下、私は四つん這いのおじさんの背に手を添えて……。
真壁瑞希
………………。
真壁瑞希
そろそろ収集がつかなくなってきたのでやめます。ぜんぶ嘘です。
真壁瑞希
本当はただの日本庭園でした。
(台詞数: 38)