真壁瑞希
シャル「失礼します」
真壁瑞希
あの後、心配するシホに誘われて、ボクは医務室で応急処置を受けた。
真壁瑞希
そして、医務室で真壁博士が呼んでいる。という話を聞いて、僕はラボにやって来た。
真壁瑞希
「ちょうど、いいところに来てくれました」
真壁瑞希
「折り入って、ラビット少尉とは話がしたいと思っていました」
真壁瑞希
「いえ、シャルル・ドナテルロ13世と訂正した方がよろしいですか?」
真壁瑞希
シャル「どうしてっ…!」
真壁瑞希
真壁博士の口から出た真名は、矢の如し、僕の身体を突き刺した。
真壁瑞希
37000小隊に所属する人から、その名は出ないと高を括っていただけあり…
真壁瑞希
そのショックと、衝撃から、一歩、ラボの出口へと大きく後退する。
真壁瑞希
「逃げないでください」
真壁瑞希
真壁博士は眉ひとつ動かさずに、そう告げると、ラボの出口を封鎖した。
真壁瑞希
「これはお願いではありません、命令です」
真壁瑞希
「それに、反応を見るからに、どうやら図星の様ですね」
真壁瑞希
シャル「…」
真壁瑞希
「今現在、私の他に、ミナセ大尉と、ハギワラ中尉が少尉の出自について調べています。」
真壁瑞希
「しかし、彼女達が真実に辿り着くことはないでしょう」
真壁瑞希
「私が、話さない限りは…です」
真壁瑞希
シャル「全ては博士次第、ですか?」
真壁瑞希
「はい」
真壁瑞希
シャル「僕は…何をすればいい?」
真壁瑞希
真壁博士は立ち上がると、机の引き出しから、何かを取り出しす。
真壁瑞希
それが拳銃だとわかるのは、彼女が僕にその銃口を向けた時だ。
真壁瑞希
真壁博士はいつも通りのポーカーフェイスを保っていたけど…
真壁瑞希
その手は、ガタガタと震えていた。
真壁瑞希
そういえば、あの娘の手も、こんな風に震えていたっけ…。
真壁瑞希
こんな風に、怯え、憎しみ、怒りをあらわにして、僕に向かってきた。
真壁瑞希
けど…
真壁瑞希
シャル「安全装置は、外した方がいい」
真壁瑞希
「えっ?…ちょっと、来ないでください、本当に撃ちますよ」
真壁瑞希
カチャッ、カチャッ…弾が出ずにトリガーを引く音だけが響き渡る。
真壁瑞希
シャル「僕を殺すなら、こうやって安全装置を外さないと、殺せないから…」
真壁瑞希
銃口が、僕の胸に当たる距離まで詰める。
真壁瑞希
僕はそのまま彼女の指を安全装置に持っていくと、外してやった。
真壁瑞希
シャル「これで、弾が出ます」
真壁瑞希
「下がって……ください」
真壁瑞希
真壁博士に促されるがまま僕は後ろに下がる。
真壁瑞希
そして、ある程度後ろに下がると、彼女は銃をこちらに向けたまま口を開いた。
真壁瑞希
「本当なら、間者であるかもしれない貴方を、私は生かすべきでない」
真壁瑞希
「それに少尉は、私の師だったキタザワ博士を惨殺した過去がある…」
真壁瑞希
「仇敵を、私には討つ義務がある…」
真壁瑞希
「キタザワ博士の為にも…、キタザワさんの為にも…」
真壁瑞希
「しかし、少尉はミナセ大尉の父上が極秘裏に送って来た可能性も排除できない」
真壁瑞希
「でも、そうすると、矛盾するんです」
真壁瑞希
「前連合時代に、水瀬の研究員だった博士を殺害した貴方が、ここにいられる理由が…」
真壁瑞希
「それに貴方は、黒井帝国の少年兵でもあった…」
真壁瑞希
「少尉は一体、何者なんですか?」
真壁瑞希
「貴方は一体、誰の味方なんですか?」
真壁瑞希
「教えてください」
真壁瑞希
古傷は、疼いていた。さっきよりも、はっきりと、僕に、わかるように…
(台詞数: 50)